学校や駅、商業施設等でよく見かける「非常口」のマークをモチーフにした、ユニークな立体作品がツイッターで話題です。投稿された動画に映っている作品は、一見すると普通の非常口に見えますが、掲示されている文字は「非情口」?

 装置を動かして、人形を扉の方へ近付けると……なんと扉が閉まってしまいました。何度繰り返しても、フェイントをかけてみても、扉は必ず閉まってしまいます。……まさに非情。

 作品を制作したのは、クリエイターの「山中杏一」さん。これまでにも、3Dプリンターを用いて制作したクスッと笑える立体物や、オリジナルのコスチューム等をSNSで多数公開しています。

 そんな山中さんが作品を作る際は、ダジャレや同音異義語からネタを探すことが多いそうで、今作「非情口」も、街中で非常口の看板を見かけた時にふと閃いたものであるとのこと。

 さらに今回は単に同音異義というだけでなく、「脱出しようとすると扉が閉まってしまう」というストーリー性を持たせられることにも注目。手動にて実際に動かせる作品にすればより面白いのではないかと考えたことから、制作を決意しました。

離れていれば開いていますが

近付くとパタリ。まさに非情

 その肝となるのは、やはり内蔵機構の部分。動画を見ると、ドアの下部にラックギアが仕込まれており、それが人形側の歯と噛みあうことで連動して動く仕組みとなっていますが、3Dプリンターでギアを作るのは初の試みだったそう。

 少しでも形が悪ければ、動かないこともある機構でしたが、これがなんと一発で成功。人形とドアがスムーズに可動し、よりこのシーンの非情さが際立つ仕上がりとなっています。この出来栄えには山中さんも非常に満足しているとのこと。

 見ている分にはとても面白い作品ですが、もしも実際にこんな扉が存在したら……考えただけでも恐ろしくなってしまいますね。緊急時は”非常”と”非情”を見間違えないよう、くれぐれも注意したいと思います。

<記事化協力>
山中杏一@演劇×動画×3DCADさん(@ymnk_kyoichi

(山口弘剛)