いまだ収束の見通しが見えない、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。患者となって回復した方も多くなっていますが、その血液が現在や将来の患者を救うかもしれません。国立国際医療研究センターらが共同で、回復者の血液にある抗体を治療や薬剤製造につなげるため、抗体測定と血しょう採取の参加者を募集しています。

 通常、感染症から回復すると、人間の体内には免疫機能によって「抗体」というものができ、一定期間内であれば同じ病原体を排除する働きがあります。ワクチンはそれを効率よく、感染症にかからず抗体を獲得しようという方法。

 この仕組みは新型コロナウイルスでも有効で、発症して回復した患者の体内には、新型コロナウイルスに対する抗体が作られています。この抗体が多く含まれた血漿(回復者血しょう)を投与したり、抗体を濃縮した薬剤(免疫グロブリン製剤)を作ることで治療に役立てることができると考えられており、実証するためには臨床研究が必要です。

 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センターをはじめとした研究グループは、2020年6月18日に「COVID-19回復者の方の抗体検査・血しょう採取の参加者募集」を公開しました。アメリカでは2020年8月下旬、新型コロナウイルス感染症の回復者血しょうについて、使用が緊急承認されています。

 この「COVID-19回復者の方の抗体検査・血しょう採取の参加者募集」においては、まず抗体の量(抗体価)と中和活性(抗体がウイルスを不活化する能力)を測定するため、50mlの採血を実施。抗体が高かった方からは、後日血しょうを300~600ml採取する流れとなっています。

 抗体検査、この研究で必要なその他の検査は研究費でまかなわれるため、自己負担はありません。さらに交通費などのため、抗体測定の際に500円、血しょう採取の際に3000円のクオカードがもらえるとのこと。

 研究に参加できる方は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断され回復した方で、20歳~69歳まで。男性で45kg以上、女性で40kg以上の体重が必要で、抗体測定は発症から3週間以降から可能とのことです。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と確定診断されていない方、抗体のみが陽性だった方は対象外となっています。

 研究を実施している機関は国立国際医療研究センター(東京都新宿区)のほか、名古屋大学医学部附属病院(名古屋市昭和区)、りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)、大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)。「COVID-19回復者の方の抗体検査・血しょう採取の参加者募集」特設サイトには、研究の詳しい内容や参加当日の流れなどが掲載されているので、参加を希望する際には必ず閲覧しておくことをお勧めします。

<出典・引用>
「COVID-19回復者の方の抗体検査・血しょう採取の参加者募集」特設サイト
https://covipla.ncgm.go.jp/
※見出し画像は「COVID-19回復者の方の抗体検査・血しょう採取の参加者募集」特設サイトからのスクリーンショットです

(咲村珠樹)