ロシアの宇宙船ソユーズMS-18がアメリカとロシアの宇宙飛行士3名を乗せ、日本時間の2021年4月9日16時42分にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。地球2周でドッキングする「特急便」のソユーズMS-18は、予定通り打ち上げから約3時間半後、国際宇宙ステーション(ISS)に無事到着しています。

 ソユーズMS-18には、第64次/第65次長期滞在(Exp64/Exp65)クルーのオレグ・ノヴィツキー宇宙飛行士(ロシア:ロスコスモス)、ピョートル・ドゥヴロフ宇宙飛行士(ロシア:ロスコスモス)、そしてマーク・ヴァンデハイ宇宙飛行士(アメリカ:NASA)の3名が搭乗しました。宇宙船は4月12日に人類初の宇宙飛行(1961年のボストーク1号)から60周年となるのを記念し、最初に宇宙飛行をしたガガーリンにちなみ「ユーリイ・A・ガガーリン」と名付けられています。

ソユーズMS-18プライムクルー(Image:Roscosmos)
ソユーズMS-18ミッション概要(Image:Roscosmos)
第64次長期滞在のミッションパッチ(Image:NASA)

 3名の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに滞在する期間中には、ロシアの新しい化学実験モジュール「ナウカ(科学)」の打ち上げとドッキングが控えています。このため、ロシアのノヴィツキー宇宙飛行士とドゥヴロフ宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションで「ナウカ」モジュールの受け入れと初期設定を担当する大役を任されました。

「ナウカ」モジュール前のノヴィツキー宇宙飛行士とドゥヴロフ宇宙飛行士(Image:Roscosmos)

 ロシアの宇宙飛行士2名は通常の国際宇宙ステーションとソユーズの訓練に加え、現在最終調整中の「ナウカ」モジュール実物を使い、搭載機器についての学習と操作方法について訓練を実施しました。国際宇宙ステーションに新たなモジュールが加わるのは、2011年以来10年ぶりのことです。

「ナウカ」モジュール内での訓練(Image:Roscosmos)

 バイコヌールに移動し、打ち上げの日を迎えた3名のクルーは、宇宙基地の建物で打ち上げ・帰還時に着用する「ソコル」宇宙服に身を包み、ソユーズの座席に座って機能試験のフィットチェック。新型コロナウイルス感染予防のため、クルーと打ち上げに携わる職員は事前に検査を受け、隔離された状態で作業にあたっています。

「ソコル」宇宙服を着込む(Image:Roscosmos)
「ソコル」宇宙服のフィットチェック(Image:Roscosmos)

 職員らからの見送りを受け、バスで打ち上げ地点に向かったソユーズMS-18クルー。宇宙船に乗り込む前、地上の人々に笑顔で手を振ります。

打ち上げ地点に向かうソユーズMS-18クルー(Image:Roscosmos)
搭乗前に手を振るソユーズMS-18クルー(Image:Roscosmos)

 宇宙飛行士が乗り込んでしまうと、万一の際に備えて待機していたバックアップクルーのアントン・シュカプレロフ宇宙飛行士(ロシア)、オレグ・アルテミエフ宇宙飛行士(ロシア)、アン・マクレーン宇宙飛行士(アメリカ)は一安心。打ち上げを待つロケットをバックに、3人で自撮り(セルフィー)を楽しんでいました。

自撮りを楽しむソユーズMS-18バックアップクルー(Image:Roscosmos)

 日本時間の16時42分41秒。3名の宇宙飛行士を乗せたソユーズ2.1aロケットは、予定通りバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。

ソユーズMS-18の打ち上げ(Image:Roscosmos)
上昇するソユーズMS-18(Image:Roscosmos)

 ロケットは打ち上げから約9分後に宇宙船を分離。太陽電池パネルを展開したソユーズMS-18は加速して高度を上げ、地球を2周した日本時間20時5分7秒に国際宇宙ステーションのミニ・リサーチモジュール「ラスヴェット(夜明け)」にドッキングしました。

ソユーズMS-18の打ち上げ概要(Image:Roscosmos)
第65次長期滞在のミッションパッチ(Image:NASA)

 到着したソユーズMS-18のクルーは、日本の野口聡一宇宙飛行士(JAXA)らと合流し、第64次長期滞在クルーとしての仕事を始めます。今後は、4月22日に打ち上げ予定の星出彰彦宇宙飛行士(JAXA:第65次長期滞在ISSコマンダー)らスペースX・クルードラゴン「Crew-2」を迎え、4月28日には野口宇宙飛行士らクルードラゴン「Crew-1」クルーを見送る予定です。

<出典・引用>
ロスコスモス ニュースリリース
NASA プレスリリース
Image:Roscosmos/NASA

(咲村珠樹)