NASAは2020年11月11日(現地時間)、JAXAの野口聡一宇宙飛行士らが搭乗するスペースXの宇宙船クルードラゴン「クルー1」について、計画に支障がないとして飛行を承認したと発表しました。打ち上げ時刻は、アメリカ東部標準時で11月14日の19時49分(日本時間15日9時49分)に設定されています。

 民間企業が独自に開発した宇宙船として、世界で初めて国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送り届けたクルードラゴン。スペースXの国際宇宙ステーション向け無人補給船「ドラゴン」のノウハウをベースに開発された、最大7人乗りの宇宙船です。

 スペースXのファルコン9ロケットに搭載され、打ち上げられるクルードラゴンは、無人の試験飛行「デモ1」ミッションを成功させたのち、2020年5月30日にダグ・ハーレイ宇宙飛行士、ボブ・ベンケン宇宙飛行士の2名を乗せた「デモ2」ミッションを実施。打ち上げから19時間後、国際宇宙ステーションに到着し、8月2日に無事帰還しました。


 これまで2回の飛行は、クルードラゴンの性能を確かめる試験飛行でしたが、今回の「クルー1」ミッションからは、実用宇宙船として国際宇宙ステーションの長期滞在クルーが搭乗するものとなります。搭乗するのはJAXAの野口聡一宇宙飛行士をはじめ、コマンダーのマイク・ホプキンス宇宙飛行士(NASA)、ビクター・グローバー宇宙飛行士(NASA)、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士の計4名。


 ミッションパッチは、NASAが青いドラゴンの横顔をデザインし、下にアメリカの有人宇宙船(マーキュリー、ジェミニ、アポロ、スペースシャトル)を意味したマークを配置。そしてスペースXは宇宙服をデザインに入れ、野口さんの名前は漢字で書かれています。


 4名の宇宙飛行士は、11月8日に打ち上げ地であるフロリダ州のケネディ宇宙センターに到着。NASAのジェームズ・ブライデンスタイン長官、JAXAの酒井純一国際宇宙ステーションプログラムマネージャらの出迎えを受けました。

 クルードラゴンを搭載したファルコン9ロケットの組み立ても、ケネディ宇宙センターで順調に進みます。11月9日の夜、組立棟からロールアウトし、39A打ち上げ施設へセットされました。


 野口さんら「クルー1」のプライムクルー4名も、ロールアウトを見守ります。自分たちを宇宙へ送り届けてくれるロケットをバックに、記念撮影を行ないました。

 発射施設にセットされたファルコン9ロケットは、1段目エンジンが正常に作動するかを確認する動作試験(スタティックファイアテスト)を実施。各システムの動作状況に問題がないことが確認され、NASAによる飛行承認が下りたのです。

 NASAのブライデンスタイン長官は「私たちは、アメリカの地からアメリカのロケットと宇宙船で定期的な有人宇宙飛行を再開でき、非常に誇りに思っています。今回の飛行承認という節目は、NASAとスペースXにとって、民間企業と協力し合って前進することができる、という大きな成果です」とのコメントを発表しました。

 野口聡一宇宙飛行士らが乗るクルードラゴン「クルー1」ミッションの打ち上げ予定は、日本時間の11月15日9時49分。YouTubeのNASA TVのほか、スペースXの公式YouTubeチャンネルでも生配信されることになっています。

<出典・引用>
NASA ニュースリリース
Image:NASA/SpaceX

(咲村珠樹)