アメリカ空軍の新型捜索救難ヘリコプター、HH-60WジョリーグリーンIIの空中給油試験がフロリダ州のエグリン空軍基地で始まりました。HC-130J空中給油機をパートナーに、長時間の捜索救難任務に不可欠な空中給油を様々なシチュエーションで実施し、運用面での問題点を洗い出していきます。

 HH-60Wの運用試験は、エグリン空軍基地の第413試験飛行隊(413th FLTS)によって実施されています。空中給油試験は2020年8月5日に始まり、最初の試験では高度約3000フィート(約915m)でHC-130J空中給油機からの空中給油がテストされました。

 第413試験飛行隊で、コンバットレスキュー・ヘリコプター部門のチーフを務めるジョー・ウィテカー氏は、空中給油試験について「この能力は戦闘捜索救難(CSAR)任務において必須のもので、ヘリコプターの航続距離を飛躍的に伸ばすことで、より広い捜索範囲を確保することにつながります」と説明しています。

 2週間の予定で実施される空中給油試験では、様々な高度や天候、時間帯で空中給油を実施し、その際の操縦特性をチェックします。同時にシステムの動作状況もモニターし、給油機側の適切な燃料流量も探っていきます。給油側と受油側のバランス調整が、空中給油には必要なのです。

 ウィテカー氏は「私たちの仕事は、実戦部隊のパイロットがどれくらい空中給油が困難になるかをチェックし、まだ判明していないHH-60W独特の危険性を洗い出すことにあります。これまでのHH-60Gとは、また異なる可能性があるからです」と、運用試験における注意点についてコメントしています。

 メーカーであるシコルスキーで、コンバットレスキュー・ヘリコプター計画を統括するグレッグ・ヘイムズ氏は「これはHH-60Wに優れた能力と、空軍のCSAR任務をサポートする機能を強化するプログラムにおける重要なテストです。空軍との緊密なパートナーシップにより、このヘリコプターを心待ちにしている実戦部隊の皆さんにお届けする段階へ、また一歩近づくことができました」とコメントしています。

 この試験に先立ち、テストパイロットらは入念な準備をし、予見される問題点を把握して実際の飛行に臨みます。最初に試験飛行を担当したアンドリュー・ファマ少佐は「テストパイロットといえども、このように新型機の試験を最初に担当するというのはレアな経験です。パイロットとして、本当にプロフェッショナルなテストチームとともにフライトできるのは、とても名誉なことです」と語っています。

  試験の初期段階では、視界が確保された昼間の空中給油で問題点を洗い出します。そこでHH-60Wの特徴を把握した上で、暗視装置を使用した夜間など、より厳しい条件での空中給油試験に進みます。

<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:USAF

(咲村珠樹)