コロナ禍の影響により3月からとまっていた学校や企業等が少しずつ元の動きを取り戻しつつあります。ともない、バイトデビューが増える3月~4月の時期から、今年は少しずれてこの頃から始めるという人がちらほら。そんなバイトデビューに選ぶ仕事は「コンビニ店員」という人も多いのでは?

 実は筆者はライターでありつつ、接客業も好きなので約10年コンビニエンスストアで店員としても働いています。そこで今回は、コンビニ店員初心者にむけて、ちょっと知っておいて欲しい「コンビニを舞台にした詐欺」に関するお話を紹介したいと思います。何故かというと、ニュースなどでもよく報じられるとおり、コンビニを経由した詐欺や変な取引などが年々増えてきているからです。余計なお節介かもしれませんが、これからコンビニバイト始める!もしくは新人だよ!という方の参考になれば嬉しいです。

■店員に対する詐欺

 コンビニを舞台にした詐欺の被害者は実はお客様だけではありません。店員に対してのものもあります。店員に対する詐欺は「POSAカード詐欺」が主。これらはコンビニの本部やPOSAカードの発行業者を名乗り、コンビニ店員に「メンテ中なので確認のため通して」などといって、店にあるPOSAカードの有効化処理を行わせカード番号を聞き出す方法です。コロナ禍が始まってからかなりの件数起きていると聞いています。

 まず前提として、本部やPOSAカードの発行業者が「電話指示だけでテスト処理を店員にさせる事はありません」。このような連絡が来たら全て詐欺になります。※POSAカードとは、POS(レジ)を使用してA(アクティブ=使える様にする)カードの総称です。レジで打たないと使えないカードを指します。

 次に件数は多くありませんが一応あるのが店員に対する「振り込め詐欺」。これもコンビニの本部などを名乗り「売上が足りなかったから、指定するところに振り込んでくれ」というものです。これもまずは詐欺を疑っていいでしょう。

▼対策

 「POSAカードのテストをして」「振り込んで」はどちらも、相手に連絡先を聞いて「折り返し連絡する」と伝える対応がベストです。そして実際に本部や知見のある店員や店長に確認をとる。

 まず「一呼吸置く事が大事」でその行為が正しいかを見直し、上の判断に任せる。それが出来る様にする為にも、普段から店に来ている本部担当、店長や時間帯責任者の連絡先(連絡先が書かれた場所なども)を事前に確認しておくといいと思います。また、「本部の○○です」と本部を名乗る場合もあるので、その場合もよく来ている担当者に確認を取ること。相手には折り返しの連絡先を聞いておくことが、ここでも大切です。

 なお、振り込め系の場合は、例外として定期的な床のワックス掛けや窓の清掃等、トイレの備品交換、商店街費等、実際に払う事が必要な場合もあります。しかし、その場合もまずはお店の責任者か本部に確認を取ってから支払うのが確実です。

■お客様に対する詐欺

 お客様に対する詐欺は主に2つあり、ATMでお金を振り込ませる「振り込め詐欺」、POSAカードを買わせ番号を送らせる「POSAカード詐欺」になります。これらに関しては判断は難しいのですが、極端に金額が大きいPOSAカードの購入や、ATMの操作を聞いてくるお客様が来られた時は注意を、詐欺に遭われている可能性が高いです。また、高齢の方かどうかというのも一つの声をかける判断材料となります。

▼対策:極端に高い金額のPOSAを購入するお客様が現れた場合

 この例の場合は、お客様に「最近、詐欺が流行っているので念の為確認なのですが、ご本人様の目的の為の購入でお間違いないでしょうか?」と聞く事が大事です。こう聞く事でお客様が冷静になって考える時間が出来、詐欺かどうか考える時間が出来るので、未然に防ぐ事が出来る様になります。

 それでも購入する場合は、念の為、店側でレシートの複製を発行して保管(レジにレシートの再発行機能があるので、事前に調べておくと良いです)し、お客様には、「POSAカードの番号の入力前でしたらレシートがある場合は返金処理が可能ですので、利用するまでは必ず保管の方をよろしくお願いします」と言い、レシートを渡してあげてください。それで冷静になって返金対応をするお客様も結構います。

▼対策:「ATMの操作が分からないが、頼まれたので振り込みたいというお客様が現れた場合」

 振り込み詐欺の被害に遭われるお客様でコンビニに来る方は、大半ATMの操作が分からないと店員に話しかけてくるお客様が多いです。この場合まずは「お客様、この振り込みは何処への支払いか把握はされていますか」と聞く事、それによりお客様が考える時間が出来るので、それで未然に防げる形が多いです。

 そもそもコンビニの従業員はATMの操作をお客様の代わりに行うのは禁止されているので(暗証番号とか把握できてしまうので、ATM関連は触れない、見ないのが基本)本来だったら「コンビニでは従業員がお客様のカードを使って操作は詐欺を防ぐ為にも禁止されているので、本当に必要な場合は、銀行の窓口での対応をお願いします」とまで言えるのがベストではあるのですが、対応が厳しかったとクレームが来るのを恐れて振り込みのやり方を教えてしまう店員も出てしまっているので、コンビニの店舗側も徹底して欲しいなと思うところはあります。

 ここまで幾つかの実例を挙げてきましたが、共通して大事なのは「一呼吸置いて考える時間を作る事」。これで大半の事は未然に防げるので、まずはお客様も店員も冷静になれる様に「それは本当に必要な事かな?」と考える心の余裕を持てる様にしましょう。

(戦魂)