エアバスは2020年4月1日(現地時間)、スペインのヘタフェで3Dプリンタを使用し、新型コロナウイルス感染者からの飛沫が顔面に付着するのを防ぐ、医療用バイザーの製造を始めたと発表しました。医療現場でバイザーが不足しがちな状況を打開する一助となります。

 スペインでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が爆発的に増えており、同時に医療機関に入院して手当てを受ける患者数も増加しています。2次感染を防ぐため、医療従事者は防護服に手袋、マスクのほか、患者からの飛沫が顔に付着しないよう、透明なバイザーを装着して活動中です。

 これらの備品で、使い捨てになるバイザーはマスクや手袋に比べ、使用する機会が少ないため不足しがち。透明な樹脂製の薄い板を頭に固定するだけ、という簡単な構造であることから、エアバスでは3Dプリンタを使い、頭へ固定するフレームを大量生産することにしたのです。

 3Dプリンタの利点は、設計データさえあれば、すぐにでも製造が可能になること。20以上の3Dプリンタが昼夜問わずフル稼働し、生分解性プラスチックでできたバイザーフレームを製造して、近隣の医療機関に提供しています。

 ヘタフェにあるエアバス・プロトスペースの責任者、アルバロ・ジャラ氏は「私が自身の仕事を愛する理由の1つが、先進的な設計と素早く製造が可能な点です。私たちは一晩で、航空宇宙のコンセプトを医療用器具へ落とし込むことができました。これはパンデミックとの戦いに、確実な変化をもたらします」とコメントしています。

 この医療用バイザーの設計データは、エアバスの関連企業間で共有されています。ドイツでもエアバス・プロトスペースのほか、ハンブルク郊外のシュターデにあるエアバス・コンポジット・テクノロジー・センターでも製造が始まっており、出来上がったバイザーをスペインに送っているとのことです。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Airbus

(咲村珠樹)