毎年3月8日は国連の定める「国際女性デー」。この日は女性の平等な社会参加など権利向上や、社会で活躍する女性を祝う行事が開かれます。旧ソ連時代から女性の社会進出が進むロシアでは、各地で軍人が道ゆく女性に花のプレゼントを行いました。

 男女を問わない社会参加をうたった共産主義革命以来、ロシアでは他国に先駆けて女性の社会進出が進みました。軍においても第二次世界大戦中、女性だけの戦闘機部隊やドイツ軍に「夜の魔女(Nachtthexen)」と恐れられた夜間爆撃隊が編制されたり、女性スナイパーが戦場で目覚ましい活躍をした過去があります。

 ロシア軍の東部軍管区に属する都市、イヴァノヴォは伝統的に織物工業が盛んで「ロシアの織物の都」という別名があるところ。織物産業に従事するのは女性が多いことから「花嫁の都市」とも呼ばれます。

 このイヴァノヴォにある軍選抜局(職業軍人の募集・選抜を担当する部局で、自衛隊の「地方協力本部」募集課に相当)では、所属する契約軍人たちが街頭で女性たちにチューリップの花を配りました。契約軍人とは、給与を受け取りながら2~3年ほどの期間働く軍人のことで、日本の任期制自衛官に相当します。


 道ゆく女性たちに花を配る契約軍人たちは、最新の戦闘服姿。寒さもありますが、戦闘服の仕様で目の部分を除いて顔を覆っているので、日本人の目線からすると怪しさ大爆発です。

 しかしロシアの女性たちは、そんな完全装備の軍人さんも見慣れているようです。大人も子供も、差し出されたチューリップの花を笑顔で受け取ります。



 中には軍人さんと一緒に自撮り(セルフィー)する若い女性も。軍の活動に理解があると同時に、世界女性デーに街頭で花を配るという行事が、市民の間に定着していることがうかがえます。

 イヴァノヴォだけでなく、この日はロシア各地で軍人が道ゆく女性たちに花を配っています。日本ではまだ「国際女性デー」というものになじみが薄い印象がありますが、ちょっと素敵な習慣といえそうです。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省

(咲村珠樹)