ボーイングのオーストラリア法人、ボーイング・オーストラリアは2020年2月10日(現地時間)、オーストラリア空軍と共同開発している有人機と協調して飛ぶ次世代無人機(ドローン)「ロイヤル・ウイングマン」試作1号機の胴体が完成したと発表しました。

 オーストラリア空軍とボーイング・オーストラリアは、有人機と協調して飛行し、情報収集を行う次世代無人機「ロイヤル・ウイングマン(Loyal Wingman)」計画を進めています。ロイヤル・ウイングマンとは「忠実なる僚機」という意味で、有人機と協調して任務にあたる特性を表現したもの。

 この計画の原型となっているのが、2019年2月にボーイングが発表した「エアパワー・チーミング・システム(ATS)」。AIと各種センサーを搭載し、有人・無人を問わずほかの航空機とをデータリンクで連携させることで、1機だけでは限界のある索敵範囲を大きく拡大し、より効率的な攻撃を実現するというものです。

 ボーイングで、エアパワー・チーミング・システム(ATS)のプログラム・ディレクタを務めるシェーン・アーノット博士は、試作1号機の胴体が完成したことについて「これは計画の開発作業におけるマイルストーンにであると同時に、オーストラリアの航空宇宙産業、そして約50年ぶりとなるオーストラリアの国産軍用機(1971年初飛行の多用途機GAFノーマッド以来)としても大きなマイルストーンとなる出来事です」というコメントを発表しています。

 オーストラリア空軍でこの計画を統括するダレン・ゴールディ代将は「ボーイングとのパートナーシップは、この計画における鍵です。ボーイングの開発は順調に進んでおり、今後数か月のうちに機体が完成することを楽しみにしています」との談話を発表しました。

 全長11.7mにもなる大型の無人機ですが、計画では3機試作されることになっています。この計画にはオーストラリア国内にある16の航空宇宙関連企業が参加しており、オーストラリアの産業界にとっても大きなものであることがうかがえます。試作1号機は2020年中にも初飛行する予定です。

<出典・引用>
ボーイング ニュースリリース
Image:Boeing

(咲村珠樹)