NASAは2020年2月12日(現地時間)、将来の月・火星探査を行う「アルテミス」計画に参加する宇宙飛行士候補者の募集を始めると発表しました。アルテミス計画を前提とした宇宙飛行士は1月に第22期生が認定されたばかりですが、それに続くものとなります。

 NASAが今後進めていく月と火星の有人探査計画「アルテミス」は、およそ20年にわたって続けられる予定。この計画では、片道2年かかるという火星の有人探査や、月面に持続可能な基地を建設して長期滞在を行うほか、月周回軌道上に宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設するなど、多くの宇宙飛行士が地球の外で活動することになります。

 計画を進めるにあたっては、20年後も現役でいられるような若い世代の宇宙飛行士が数多く必要。こういった事情から、たて続けに宇宙飛行士候補者の選抜を行うことになったようです。

 NASAの宇宙飛行士ですから、前提条件としてアメリカの市民権(アメリカ国籍とは別)が必要。その上で理系分野(工学、生物学、化学、物理学、コンピュータ工学、数学など)において、公的に認定された機関(大学や大学院など)から修士の学位を取得している程度の学力が求められます。

 修士の学位を取得していなくても、以下のような条件に合致していれば、同等とみなされます。

・博士課程で2年以上学んでいること
・医学や薬学の博士課程を修了していること
・テストパイロット資格取得者、もしくは選考が終了する2021年6月までに取得見込みであること

 また、少なくとも2年間にわたって専門的な経験を有しているか、ジェット機で1000時間以上の機長(もしくは単独操縦)経験を有していることも求められます。もちろん、NASAの定める宇宙飛行士身体検査基準をパスする必要があるのは、いうまでもありません。

 募集期間は2020年3月2日〜3月31日となっています。応募手続きの初期段階には、2時間ほどのオンライン審査を受ける必要があるとのこと。

 これらの厳しい審査を経て宇宙飛行士候補生となり、訓練を修了して審査にパスすれば、晴れてNASA第23期宇宙飛行士として認定されることに。そこからは国際宇宙ステーションや、2024年に予定されている有人月着陸、2028年から予定されている月基地での長期滞在、そして2030年代半ばを目指して準備が進められている有人火星探査に参加できるチャンスが待っています。

 残念ながら筆者はアメリカ市民権も持っていないので応募資格がありませんが、もしアメリカ市民権を持っていて理系の修士程度の学位を持っている方は、アメリカ政府の採用サイトから、応募してみてはいかがでしょうか。ただし、前回の第22期宇宙飛行士候補(12名選抜)の募集には、過去最高となる1万8000人以上の応募があったそうですので、今回もかなりの狭き門となりそうです。

<出典・引用>
NASA ニュースリリース
Image:NASA

(咲村珠樹)