ツイッター発で話題になった商品はこれまでにも幾つもありますが、一方で意外と使えるのに認知度が低くひっそりと消えていく……そんなモノたちもあります。北陸人にはおなじみの耐熱で丈夫なポリ袋「アイラップ」(以下アイラップ公式さん)の公式ツイッターが紹介した「あくとりさん」も、その運命をたどりかけた一つです。

 「あくとりさん」は2011年12月発売の商品。商品の関連部署であるアイラップ公式さんが、昨年から度々紹介していました。が、百聞は一見に如かず。 2018年12月26日のツイートで、「(´・ω・`)会社戻ったから、わかりやすく動画撮ったよ。」と、あくとりさんの実演動画を投稿したところ、たちどころに大きな反響が。動画には、水だけをすくうとおたまにそのまま残るのですが、アクが入っている水をすくうと、アクだけがすくえてしまい、水はおたまのスリット部分から抜けてしまう状態が映っています。

 これを見た人たちからは、「魔法みたい」「面白い、すごい」と大きな反響が。ネット通販サイトでも軒並み品切れとなる勢いで売れている様です。アクだけがすくえるのは、水の表面張力を利用した仕組みでスリットが作られているからだとか。


 アイラップ公式さんに、この「あくとりさん」について幾つか質問してみました。ちなみに「あくとりさん」はアイラップを販売する岩谷マテリアルとは全く違うTERNA社の商品。あくまで販売窓口という立場だそうです。さて、「あくとりさん」担当部署の方によると、開発の経緯については、「鍋料理をしている時に網状のアク取りを使っていましたが、すぐ目が塞がってしまい、余分にスープまで取れてしまっていました。 これを解決すべく、金属の穴抜き技術を用いて開発しました。」との事で、鍋シーズンを迎える冬場に一番よく売れているという話。ひと月数千本売れていたそうです。動画を上げた事で多くの反響があり、中の人自身も驚いているそう。

 「実は2年前までは日本全国の主要スーパー、ホームセンターで買えた商品だったのですが、近年売れ行きが伸びず…現在では一部の店舗とネット通販のみの販売となっています。 しかし、先日の動画ツイートによって、ほとんどのお店で完売となってしまいました。 継続すら危ぶまれていた商品でしたので、今後については現在協議中となります。 最後に、欲しい!という声こそが事業継続の原動力、および販売店さんに再びお取り扱いを検討して頂ける力となると思います。皆さま、ご声援よろしくお願いします。」と、今後の販路拡大については検討中との事。アク取り用のおたまとしては小サイズで一つ1500円前後と少しいいお値段ですが、一つ一つ職人さんが作っているとの事で、使い勝手や長持ちする観点から言っても決して高いものではないと思います。

 鍋を囲むシーズンはもちろんですが、普段の煮物料理や味噌汁のアク取りにも使えて、素材もしっかりとしたもの、通年使えて目詰まりもなく手入れも簡単なので、買って損はなさそうです。通販サイトなどでもすぐに売切れになってしまうので、近くの量販店などで取り寄せるのが確実に手に入れる方法かもしれませんね。

<記事化協力>
アイラップ公式ツイッターアカウント(@i_wrap_official)

(梓川みいな)