装備の近代化を図るドイツ海軍で、将来の中核を担う多目的戦闘艦MKS180。その建造についてドイツ国防省は競争入札の結果、オランダのダーメン・スヘルデ・ナーバル・シップビルディングを主契約社として選定したと2020年1月14日付で発表しました。

 ドイツが2016年の防衛白書で計画を明らかにした多目的戦闘艦MKS180。MKSとはMehrzweck(多目的)Kampf(戦闘)Schiff(船)の頭文字となっており、対潜水艦戦闘、海上警備、掃海など様々な任務に対応する艦です。

 船の規模は喫水線長約155m、満載時排水量9000トンと、現在建造が進められている最新のフリゲート、バーデン・ヴュルテンベルク級(全長149.5m・満載時排水量7316トン)をしのぐ、戦後のドイツ海軍水上戦力で最大規模。排水量を基準にすると、1994年から就役しているブランデンブルク級フリゲートの倍近いものとなります。

 最大の特徴は、モジュール化された船体設計。任務に合わせてミッションモジュールを換装できる上、モジュールごとに近代化が実施でき、共通のインターフェイスにより新たなミッションモジュール追加することもできるので、技術の進歩に対応してきめ細かく、そして従来より低コストで近代化改修が可能になっています。

 艦の運用についても省力化が図られ、常駐110名の乗員と、任務に応じて乗艦するミッションモジュール要員70名で構成されています。母港を離れての最大連続行動期間は24か月、北極海での作戦行動にも対応する、ロイド保険会社アイスクラス1C/E1(最大厚15cm〜30cm程度の海氷が浮かぶ海域で航行可能)の耐氷能力も備えます。

 主契約社となったダーメン・スヘルデ・ナーバル・シップビルディングは、ドイツのブローム・ウント・フォスと共同で、ハンブルクにあるブローム・ウント・フォスの造船所で建造にあたる予定。ドイツ海軍ではMKS180を4隻建造する計画です。

<出典・引用>
ドイツ国防省 ニュースリリース
ダーメン・スヘルデ・ナーバル・シップビルディング ニュースリリース
Image:BAAINBw/MTG Marinetechnik/Damen Schelde Naval Shipbuilding

(咲村珠樹)