日常生活の中で目にしているものが、手のひらサイズに収まってしまうミニチュアの世界。昨今では、本物と引けを取らないほどそのクオリティはますます高くなっています。

 そんな中、コンロの火までミニチュアで再現してしまうほどのこだわりを見せた作家さんがいました。

 日頃からミニチュア・ドールハウスを制作しているというにわこさん。「led照明を使用してガスコンロの火を表現してみました。それっぽく見えていると嬉しいです」と、動画とともにTwitterへ投稿したところ2600件以上も「いいね」されるほどに注目されていました。

 やかんをコンロに置いて暫くすると、やかんの底から赤い炎が揺らめく様子がわかります。コメントの中には、「すごーーーい。火がついてるように見えます」「ガスの火は青いので、青くするともっとリアルになりそう」とミニチュアで火を表現できることに興味を持った方が多いようでした。

 やかんを置いたタイミングでコンロの火が点灯したように見えるのですが、こちらは実際違うらしく、別スイッチでつけているそうです。にわこさんによると今回、キッチンエリアと部屋エリアからなるハウスを制作しており、ガスコンロ以外の照明も一か所のスイッチに配線をまとめて一斉に点灯するシステムになっているとのこと。

 こんなにも緻密で正確性を必要とするミニチュアの世界ですが、にわこさんは昔から美術が得意だった訳ではなく、特に自分自身、手先が器用だと感じたこともなかったとか。「ただ大人になってからも食玩のリーメント等に惹かれたりと小さいものには興味がありました。ミニチュアをはじめたきっかけは、インターネットでミニチュア制作の世界に出会ったことです。それまでは小さい物は欲しかったら買うものだと思っていたのですが、まさか自分で作ることができるなんて……!と衝撃を受けました」とのこと。

 ミニチュア作品を今までで何点ぐらい制作してきたのか聞いてみたところ、正確には数えたことは無いらしく、約20点ぐらいだそうです。「今までは小物単品での制作が多く去年は「冷蔵庫」をテーマに中の物を色々と制作しました」と、そのミニチュアを見せていたただきました。


 パックに入っている肉のサシの部分やビールのラベル等とても再現度が高く、これがミニチュアなの!? と思うほどのクオリティ。因みに、水系の表現はレジンで制作しているそうで、ビール等のラベルに関しては手描きではなくパソコン制作だそうです。「本物と雰囲気は似せていますが背景、ビール缶、水しぶき等も自分でデータを制作しています。コピーなどはしていません。製造されている会社の商標権を侵害しないようにネーミングやロゴもオリジナルで作っています。その為ヱビスビールではなくダイコクビール…といった感じです」と教えてくれました。

 ガスコンロのキッチンのミニチュアを作るのに、ガスコンロは横のシンクや下の台と繋がった構造で出来ており、3日くらい制作期間がかかったそうです。「ミニチュア制作の場合一度目でイメージ通りの成功することはほとんどなく、その後試行錯誤が続くので3日の大半が試行錯誤の時間です」とアイデアをまとめるのにかなりの時間がかかるようです。さらに、製作する時のこだわりも伺ってみたところ「難しいなと感じるのは食べ物の質感でしょうか。食べ物は粘土で作ることが多いのですが、いかに粘土感を消して本物に近づけるかという所でいつも苦労します。こだわっているところは生活感の表現です。今回のキッチンでいえばシンクの流れる水など、まるで誰かがそこで生活しているような雰囲気を味わってもらえる作品作りを心がけています」とのことでした。

 なお、12月22日~23日に開催される「ミニチュアアート展2018大阪」で出店されるそうで、現在制作中のキッチンエリアと部屋エリアからなる中型のハウスをメインの展示品として考えているとのこと。そして、「現在nunus’ house様のミニチュア教室に通っているので、教室課題として制作したカップケーキセットも展示したいと思っています」と展示会に向けて大忙しのようでした。ぜひ興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

<記事化協力>
にわこさん(@__niwaco__)

(黒田芽以)