夏を迎え、ロシアでは山林火災が発生しやすくなる季節に入ります。ロシア航空宇宙軍の輸送機部隊は2020年7月13日、トヴェリ州の基地でIl-76輸送機を使った空中消火の訓練を実施しました。

 シベリアをはじめ、山林が国土の多くを占めるロシア。山林火災は木々が焼けて水源地など自然環境を変えてしまうだけでなく、場合によっては人家にも大きな被害をもたらします。

 ロシアでは緊急事態省と軍が協力し、国内で発生する山林火災に対処しています。火災は広範囲かつ、消防車が入れない場所で発生することが多いので、消火活動は航空機による空中消火が基本になります。

 ロシア航空宇宙軍のIl-76輸送機には、貨物室に装着するVAP-2という空中消火ユニットがオプションとして用意されています。2つある消火剤タンクには合計40立方メートルの液体消火剤が搭載でき、胴体後部のランプを開いて地上へと投下します。

 訓練に参加した10名のパイロットは、空中消火に有効な高度・速度を維持して飛行します。その高度はおよそ100m、速度は時速278km前後。高度が高すぎたり、速度が速すぎたりすると消火剤が拡散してしまい、十分な効果を得られません。

 普段の輸送任務と全く違う飛行パターンというのもさることながら、消火剤の散布によって約42トンもの重量が一気に減ってしまうので、操縦特性は急激に変化します。その感覚に習熟し、パイロットは火災シーズンに備えます。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省

(咲村珠樹)