ロシアの気象衛星シリーズ「エレクトロ-L」の3号機が、モスクワ時間2019年12月24日15時3分にバイコヌール宇宙基地からプロトン-Mロケットによって打ち上げられ、無事に初期軌道への投入に成功したとロスコスモス(ロシア宇宙庁)が発表しました。

 気象衛星エレクトロ-Lは、3機で構成される静止衛星ネットワークシステム。地球全体での雲の動きや、海面水温や波のデータ、積雪の状態を観測し、地球規模での気候モニタリングやその変動などを明らかにするものです。西経14.5度に位置する1号機は2011年1月20日、東経76度に位置する2号機は2015年12月11日に打ち上げられており、今回東経165.8度に投入される3号機で地球全体をカバーする観測システムが完成します。

 観測機器でメインとなるのは、121メガピクセル(空間解像度1km/ピクセル)の光学カメラ。高精細な雲の画像を撮影し、雲の種類や発達の仕方、動きを捉えます。

 このほかに海面水温などを測定するセンサーや、大気の動きを観測するセンサーも搭載。航空機の運航に関する詳しい気象情報も提供することが可能です。また、自然災害の状態を観測し、災害発生のメカニズムを解明することで、より効果的な対策を講じることも可能になるといいます。

 エレクトロ-L3号機を搭載したプロトンロケットが組み立て棟からロールアウトし、81番発射台に据え付けられたのは12月21日。発射台で各部の点検と試験が行われ、12月23日に試験結果を検討する会議を開催。12月24日朝に予定通りの打ち上げが承認されました。



 打ち上げ当日の12月24日はクリスマスイブとあって、打ち上げに際しての記者会見には、関係者の中にサンタクロースの姿も。

 そしてモスクワ時間の15時3分2秒。プロトン-Mロケットが打ち上げられました。


 打ち上げからおよそ10分後、衛星は予定していた待機軌道に乗り、打ち上げは成功しました。打ち上げから約17分後には再びエンジンを噴射して加速し、静止トランスファ軌道(GTO)へ遷移しています。

 打ち上げから6時間25分19秒後には、投入予定の軌道高度3万5405kmの遠地点に到達。6時間37分後に静止軌道へ入りました。ロスコスモスではこの後、衛星を目標とする東経165.7度の位置に移動させ、搭載している観測機器の動作チェックを行い、本格運用に備えることとしています。

<出典・引用>
ロスコスモス ニュースリリース
Image:Roscosmos

(咲村珠樹)