記念きっぷのいまむかし皆様、お久しぶりです。ひろっぴの「ゆるりと鉄で参ろうか」のひろっぴでございます。
今回は第九回のテーマであった「記念きっぷ」の移り変わりを取り上げたいと思います。


と言ってもあまり古いものはわかりませんので、あくまでも「自分が購入するようになってから」のことになります。
自分が物心ついて「記念きっぷ」を目にするようになったころの多くはきっぷ部分を切り離して利用する「半券切り離し」タイプが主流で、きっぷをメインとしたものは少数でした。

「半券切り離し」タイプは、手元に残る部分には記念きっぷのテーマである写真や解説などを載せたりするなど、それが一つの資料となっていたりしたほか、絵はがきとして使えるようになっていたりするなど実用性を兼ねたものも存在していました。
なので、きっぷ部分がないとなんだったかわからなくなるものもあったりします。
その後しばらくは「半券切り離し」タイプが主流となっていきますが、バブル景気に伴っておまけをつけたものや、一部では紙以外のものを使って作成したりしていたこともありました。

そして国鉄からJRへと移行し、バブル景気が崩壊するとともに様変わりし始めます。

このころから首都圏を中心に駅の改札の省力化が始まり、自動改札機の導入が進むとともにきっぷも磁気化が進められます。
これに前後して国鉄末期からは磁気プリペイドカード「オレンジカード」が導入されます。
その後さらに、駅の券売機で切符を買わずとも自動改札機を通ることが出来るプリペイドカードの導入が始まり、JR東日本では「IOカード」、首都圏の私鉄などでは「パスネット」、関西大手私鉄などでは「スルッとKANSAI」といった共通規格プリペイドカードが使えるようになります。

TOICA 磁気カード

このような磁気プリペイドカードが普及することにより、記念きっぷも自動改札に対応していることが求められることになり、徐々に「半券切り離し」タイプは消滅し、カードの図柄を記念図柄とする「記念図柄カード」タイプが主流となっていきます。
そしてこの「記念図柄カード」タイプからは、カードだけでなく台紙を凝ったものにしていくという場合と、カード図柄を凝ったものにして販売する場合の大きく2つのパターンが登場します。
しばらくはこの「記念きっぷ」というより「記念カード」の状態が続くこととなります。

そして2000年代前半にはついに磁気プリペイドカードに変わるシステムとして「非接触型ICカード」が導入されます。
「非接触型ICカード」は入金してあれば自動改札機にタッチすることで改札口を通過して乗車できるほか、電子マネーとして物販の支払いにすることが可能となっています。
JR東日本の「Suica」導入に始まり、その利便性の高さから瞬く間に他のJR系鉄道会社や首都圏の私鉄各社、関西大手私鉄各社などを含め、多くの鉄道会社へと波及していき、JR東日本や首都圏の私鉄各社から磁気プリペイドカードを淘汰することとなります。

そしてこの「非接触型ICカード」も「記念カード」として発売するということも行われましたが、これらは認知度アップとカードの普及を促進するというのがほとんどで、「記念きっぷ」として発売することはごく一部をのぞいて行われていません。

では「記念きっぷ」はどうなっかというと……。
原点回帰というわけなのか、ノスタルジックを求めてなのか「きっぷ」タイプ、それも数を減らしつつある「硬券」と呼ばれる厚紙タイプのきっぷでの発売が主流となっています。

ということで、ざっくりとした感じではありますが「記念きっぷ」の移り変わりを説明してみました。
次回は手持ちの「記念きっぷ」について紹介させてもらおうかと思っております。

記念きっぷ 記念きっぷ

■ライター紹介
【ひろっぴ】

幼少の頃からの「鉄道」好き。一時期は離脱していたものの、10年ほど前にふとしたきっかけで出かけた先の地方鉄道への乗車で、再び鉄ヲタの道へ。
以後、鉄ヲタの道を極めるべく、あちこちへと出向くのである。