「うちの本棚」、今回はあべこうじの、もうひとつの「かぐや草紙」ともいうべき『小町ちゃん』です。お酒を飲みながら出てくるY談のような軽くてエッチなギャグをお楽しみください。

OLの小町ちゃんを主人公にした、現代版「かぐや草紙」とも言うべき作品。ネタのほとんどはエッチなもので、作者曰く「実はあんまりエッチではありません。ただ飲むとY談がいっぱい出てくるタイプです。あんまりいっぱい出てくるので漫画にしました。一杯飲りながら、Y談のつもりで読んでください」とのこと。


まあ確かにそんなふうに軽い感じで読み流せるネタが多くて疲れないのがいい。ただセックスからみのネタが多いせいもあって、ページをパラパラめくってみるとほぼ同じ構図で小町ちゃんがベッドインしている絵が何度も出てくるのには笑わされた。

それにしても、『ムラサキ』のころは少女っぽいキャラクターがけっこう登場していたのに、『かぐや草紙』以降はほとんど登場しなくなっているのは大きな違いだ。本作の小町ちゃんもかぐや同様豊満でセクシー系の女性に描かれていてこれはその後のあべ作品に登場する女性キャラにも共通している。もちろん内容的にムラサキのようなキャラクターが使いづらかったというのはあるかもしれないが、全く姿を消してしまっているような印象を受けるので意外に感じてしまう。

ちなみにこの『小町ちゃん』、個人的には『かぐや草紙』とセット的な印象もあったりするのだが…(笑)。

書 名/小町ちゃん
著者名/あべこう
収録作品/小町ちゃん
発行所/光文社
初版発行日/1989年7月20日
シリーズ名/光文社コミックス

■ライター紹介
【猫目ユウ】

フリーライター。ライターズ集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。