「うちの本棚」、今回はウルトラマンコミックの中でもあまり知られていない野原正光版『ウルトラマン』です。人気怪獣が多数登場するオリジナルウルトラコミック。

第一話と第二話は直接続いたエピソード、第三話は同じ流れの別のエピソードという三話から構成されたウルトラマンのオリジナルコミック。


ウルトラマンに関しては、テレビ放送に合わせ、「少年マガジン」では楳図かずおが、「ぼくら」では一峰大二がコミカライズを担当したが、その後、ウルトラマンをはじめウルトラ兄弟が共演するオリジナルストーリーを居村慎二らが小学館の学年誌などで連載していた。本作はそのようなオリジナルストーリーの一本だが、あまり知られていないもののひとつであろう。
コミック・メイトシリーズからはひるた充の『ウルトラマンA』、石川 賢の『ウルトラマンT』が刊行されているので、本書はその流れでの刊行といえる。

登場するのはウルトラマンに加えウルトラセブン(作品中では「ウルトラ7」と表記される)。登場怪獣もテレビ版の両作に登場したものがほとんどで、わずかにスカンク型の怪獣などがオリジナルとして登場している。

ストーリーの基本は、バルタン星人を中心とした地球制服を狙う怪獣軍団とウルトラヒーローの戦いとなっていて、科学特捜隊やウルトラ警備隊に代わって少年宇宙警備隊などが登場している。とはいえ、ウルトラヒーローが人間に変身して警備隊員となっているわけではない。

怪獣のタッチはなかなかのものだが、ウルトラヒーローはもうひとつキリっとしない。とくにラスト近くは雑な印象すら感じてしまうのが残念だ。

とはいえ多数の人気怪獣が登場するオリジナルストーリーであるだけに、他のウルトラコミックの陰に隠れてしまっている感があるのはもったいないように思う。

書 名/ウルトラマン
著者名/野原正光
収録作品/第一話・四大怪獣との対決、第二話・怪獣月にせいぞろい、第三話・怪獣星X
発行所/若木書房
初版発行日/昭和54年8月25日
シリーズ名/コミック・メイト

■ライター紹介
【猫目ユウ】

フリーライター。ライターズ集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。