「うちの本棚」、今回は石川 賢のSFアクション作品から『時空間風雲録』を取り上げます。未来世界に放り込まれた過去の人間たちの運命は!?

29世紀のタイムマシンが原因不明の故障を起こし、過去の人間を巻き込んで29世紀に送り込んでしまった。戦国時代の無武士やお姫様、20世紀の学生などが未来の世界で人間を支配しているコンピューターに戦いを挑む。石川賢らしくギャグ満載のSFアクション。


29世紀の未来の都市はあまり細かく描かれていないが、世界を支配しているコンピューターはロボットの頭部のような形をしている。そして過去の人間の攻撃がコンピュータに計算できないものだったことで敗北していく。

この時期の石川 賢は、ほかに『ヤクザウォーズ』や『宇宙長屋』といったギャグ多めのSF作品が目立つ。

石川作品は永井 豪作品に比べて陽気なのが特徴といえると思う。とはいえ永井作品のような深みが感じられないという点もある。そのぶん勢いという点では石川作品の方が勝っていたのではないかという印象もある。

また高円寺 博原作の2作品はギャグも抑えたシリアスなSF作品。晩年の作品はギャグとシリアスをバランスよくミックスしていたように思う。

書 名/時空間風雲録
著者名/石川 賢
収録作品/時空間風雲録、宇宙船ベルビア号遭難(原作・高円寺 博)、恐怖の罠(テリプル・トラップ)号の戦い(原作・高円寺 博)
発行所/双葉社
初版発行日/昭和54年11月5日
シリーズ名/パワァコミックス

■ライター紹介
【猫目ユウ】

フリーライター。ライターズ集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。