みなさんこんにちは。咲村珠樹です。今回の「宙(そら)にあこがれて」は、航空・宇宙ファンの活動について、独自の分類にもとづいてジャンル分けし、ご紹介しようと思います。
これらの活動ジャンルについては、のちのち個別にご紹介していこうと思いますので、今回はサラッと概要のみで失礼します。文章のみでのご紹介となりますので、新たにタイトル画像を作成しました。お気に召しましたら幸いです。


さて、航空・宇宙ファンとひとくくりにしましたが、航空ファン・宇宙ファンと分けてご紹介しましょう。両者は重なってる部分もあるのですが、宇宙を守備範囲としない航空ファンや、同じく飛行機を守備範囲としない宇宙ファンも多いので……。

まずは航空ファンの活動ジャンルについて。いくつか分け方があるのですが、大きな分け方として「軍事航空」と「民間航空」という、いわゆる「航空」の主体によって、二つに分けることができます。双方分けへだてなく活動するファンもいるのですが、範囲が広くなってしまうので、どちらかに絞って活動しているファンの方が多いようです。

【軍事航空】
主に戦闘機をメインに追いかけることが多いですね。ミリタリーファンと重なる部分も多く、軍用機の撮影などだけではなく、各軍用機の性能比較、さらに各国の航空戦力分析、それを用いた航空面での戦略・戦術研究まで行うファンもいます。もちろん戦史研究や、中には海外での「戦闘機体験搭乗ツアー」に参加して、実際の戦闘機に乗ってしまう人も。最も多いのは、航空自衛隊の「ブルーインパルス」をはじめ、様々な軍用機などが登場するエアショー(航空祭)に出かけていくファンでしょうか。中には、世界各国の軍に所属するアクロバットチームのショーを見に、海外遠征をするファンもいて、旅行会社によるツアーも多く催行されています。

【民間航空】
簡単にいえば「軍用機以外」を守備範囲とするファンといえますが、かなり幅広い分野ともいえます。航空会社の飛行機だけでなく、自家用飛行機やグライダーなどのスカイスポーツなども含みます。スポーツ専門テレビ局のESPNで放送されている「レッドブル・エアレース」のファンも、こちらに含まれるでしょう。

次に、ファン活動のジャンルを細分化していきましょう。こちらは同じ「乗り物」趣味として、鉄道ファンと活動ジャンルの分け方が似ている面があります。

【撮影】
いわゆる「撮り鉄」に相当するものです。飛行機や、飛行機のある風景を撮影するのですが、様々なところにある線路と違い、点と点を結ぶ乗り物である航空機の場合、撮影場所は主に飛行場(空港や基地)周辺に限られます。その中でも撮影に適した飛行場や、その飛行場でも撮影できる場所が限られます(多い空港でも数カ所)ので、だいたいみんな似たような撮影スポットに集まりがちです。そういった点で、その場でファン同士の交流が生まれるケースもあるようですね。

【乗る】
乗り物ですから、乗ることを趣味にしているファンはかなり多くいます。ただ、鉄道同様、乗り方にも様々なバリエーションがあり、航空会社のマイル(海外では「フリークエント・フライヤーズ・プログラム」略してFFPと言った方が通じやすいようです)を貯める「マイラー」や、路線や特定機種の乗りつぶし、新型機や新路線の「初フライト」、逆に飛行機の引退や路線廃止の「さよならフライト」に特化するファンが存在します。幸い、というか、まだ鉄道でいう「葬式厨」と蔑称されるようなファンは出ていないようです。

【時刻表・路線図】
鉄道でいうなら「時刻表鉄」。地図に航空路が印刷された航空路図や、航空会社の発行する時刻表をコレクションしたり、それを用いて机上旅行を楽しんだりするものです。飛行機はだいたい、到着して30分ほどで次の目的地へと出発していくことが多いので、中には時刻表の出発時刻と到着時刻、そして使用機から、航空機の運用を推測して楽しむファンもいるようです。

【模型】
「模型鉄」といえるものです。昔ながらのプラモデルも根強い人気ですが、ここ10年ほどで一気に増えてきたのが「ダイキャストモデル」と呼ばれる精密な完成品模型。このダイキャストモデルは、継続的な定番商品として販売されることは少なく、多くても世界中で数千個という限られた数を生産しておしまい、というケースがほとんど。ですから「限定品」という、コレクターにはたまらない希少性があるのが特徴です。プラモデルで最近増えたのが、ゲームやアニメのキャラクターデカールを戦闘機等の全面に貼った「痛戦闘機」。特に『THE IDOLM@STER』関連が目立ちます。

【グッズ収集】
チケットをはじめとして、航空会社のノベルティグッズなどを収集するファンも多いですね。昔は各航空会社とも、凝ったポスターや絵はがきを作っていて、特にヨーロッパの航空会社のポスターなどは高い人気です。また、ビジネスクラスやファーストクラスのアメニティキットや、航空会社が放出した機内備品なども人気があります。中には自宅にファーストクラスのシートを持ってる人も。軍用機では計器板や操縦桿、さらにノーズアートが施された機体外板などがコレクションの対象になっています。

【空港】
飛行機だけでなく、空港のファンという人もいます。ターミナルビルの研究や、滑走路などの運用を調べたり。管制業務なども対象になります。

【機体研究】
飛行機の機体やエンジンを研究するものです。性能比較ももちろんですが、旅客機の座席やその配置は航空会社ごとに違うので、その比較も対象になります。たとえば「エコノミークラスでもっとも居心地のいいシートはどの航空会社か」とかですね。

【歴史研究】
航空会社や飛行機の発展、航空行政の歴史などを研究する趣味も盛んです。特に昔は、飛ぶこと自体が手探りだったこともあり、様々な理論にもとづく変わった形の飛行機があったり、航空会社でも、今では考えられないサービスがあったりするので、結構調べると面白いものです。

【航空会社】
航空会社のサービス比較や、客室乗務員(CA)の制服や機内サービスを楽しむファンもけっこういます。特に最近注目が集まっているのが、離陸前に行われる「非常時の説明」。海外の航空会社では、CAが踊ったりラップで紹介するものや、ビデオでも凝った作りの「エンターテイメント」と言えるようなものまであるので、これを楽しみにしている人も。

【グルメ】
空港で購入できる「空弁」や、機内食を色々食べ較べる「空グルメ」。最近は空弁の充実で、結構ファンが増えてきています。

【エアバンド】
航空ファンに特徴的なジャンルが、このエアバンド。飛行機は地上を移動する時から、たえず無線交信をしています。これらの交信を受信機(送信はできないので、業務を邪魔することはありません)で聞いて、飛んでいる飛行機に思いを馳せる……といったものです。また、飛行場近くでの飛行機撮影で、管制塔の交信などを聞いていると、次にどんな飛行機がやってくるのかが事前に判りますから、聞いていると非常に便利なものでもあります。

【シミュレータ】
パソコンには、飛行機を操縦する「フライトシミュレータ」や、管制業務を疑似体験するシミュレーションソフトがあります。様々な飛行機や空港のものがありますので、コレクションして楽しむ人も結構います。中には独自のデータを使ったオリジナルのものを開発しちゃう人も。

【スカイスポーツ】
他のものと違って、実際に飛んでしまう……という趣味。ライセンスを取得して、自家用機やグライダーを操縦する人も、まだ数は少ないですが、徐々に増えてきているようです。中には自作の飛行機を組み立てて形式証明を取り、飛ぶ人まで。

とまあ、同じ「航空ファン」とひとくくりにされますが、結構幅広いジャンルに渡っていることがお判りかと思います。

続いて宇宙ファンの活動ジャンルについて。宇宙開発は、ほとんどが国家プロジェクトなので、ファン活動としてできることは限られています。なにしろ、おいそれと乗れませんし。なので、外部から眺めるような活動が主になります。

【歴史研究】
各国の宇宙開発史についての研究は、古くからあるファン活動の形態です。主に情報量が多い日本とアメリカ、そしてソ連(ロシア)が対象になっています。

【機体研究】
ロケットや宇宙機(人工衛星や惑星探査機など)の機体について、設計思想や運用法などに注目する趣味も多いですね。ロケットの能力によって、重量や大きさに制限がある宇宙機は、その目的に必要な能力を追求し、無駄なデザイン(空気抵抗も考慮しなくていい)をそぎ落とした究極の形態をしているので、より設計思想が明確に判るものでもあります。大学などでは、実際にロケットを作って打ち上げる競技会も開催されたりしています。

【宇宙飛行士ファン】
これは判りやすいですね。宇宙飛行士に注目し、様々なファン活動をする人もいます。中には、宇宙飛行士選抜試験に落ちた候補者たちが、その時に選抜された飛行士を応援するサークルもあったりします。

【宇宙機萌え】
近年、急速に増えているのが、この宇宙機を擬人化してファン活動をする人々です。小惑星探査機はやぶさ(MUSES-C)で有名になりましたが、実はJAXA内でも、以前から宇宙機を擬人化(開発してるうちに我が子同然になりますからね)して呼んでたりしたそうです。現在は一般のファンによる擬人化イラストなどが花盛り。商業誌・同人誌問わず、様々な本もでていますので、今一番勢いのあるジャンルだと思います。

様々なファン活動のジャンルを紹介してきましたが、改めて列記してみると、結構広範囲に渡っているものですね……。もちろん、それ専門という人はむしろ少なくて、多くのファンは複数のジャンルにまたがって活動しています。しかし、趣味の歴史は同じくらいあるのに、鉄道ファンのように「◯◯鉄」などと呼称されることがないので、世間的にはまだまだマイナーな趣味なのかもしれません。だからなのか、あまりCAさんなどにおたく扱いされることはありませんね。いいことなのか悪いことなのかは判りませんが……。

次回はまた、写真を入れた形のコラムになると思いますので、よろしくお願いします。

■ライター紹介
【咲村 珠樹】

某ゲーム誌の編集を振り出しに、業界の片隅で活動する落ちこぼれライター。
人生のモットーは「息抜きの合間に人生」
そんな息抜きで得た、無駄に広範な趣味と知識が人生の重荷になってるかも!?
お仕事も随時募集中です。