「特撮映像館」、第40回は松竹の生み出した宇宙怪獣「ギララ」を取り上げます。

東宝のゴジラ、大映のガメラ、そして日活のガッパと共に松竹が生んだ怪獣がギララだった。監修にはSF作家の光瀬 龍がクレジットされている。
「ギララ」という名前は公募されたもので、全国の子供たちからの応募作品の中から選ばれた(劇場予告では命名式の様子も報じれた)。


結果的にこのギララも日活のガッパもシリーズ化はされなかったが松竹唯一の怪獣映画として知られることにはなった。

ギララの造形はかなりユニークで秀逸なものだった。宇宙怪獣という特性もあるが鳥類的なデザインはゴジラやガメラとの差別化からくるアイデアだったのかもしれない。これはガッパにもいえることだ。

ストーリーは火星探査に向かうスペースボートの発進から始まる。当初は火星探査に向かう宇宙船が謎の飛行物体に妨害されているという事実から、今回のスペースボートも妨害にあい月基地に避難し、再び火星を目指すが、今度は隕石群と遭遇し、直後ロケットのエネルギーを吸い取る発行物体が付着していることを発見。火星探査を中断し発行物体を地球に持ち帰る。そしてその発行物体の中からギララが生まれるというものだ。

発電所などのエネルギーを吸収し、関東地方全域を壊滅させるギララ。ギララを倒すヒントがギララが生まれた殻にあると考えた主人公たちは真空中で研究するため、ふたたび月基地へ向かう。

地上を破壊するギララに対しあらゆる兵器は通用せず、ギララニウムという対抗物質が月から届くのを待つしかないという状況の中、月基地を発信するスペースボート。果たしてギララを倒すことができるのだろうか。
 
結果的に火星探査を邪魔する謎の飛行物体の正体は明らかにはならず中途半端な感は否めない。またエネルギーを求めて地上を破壊するギララだが、エネルギーを吸収しているシーンはなく、ただ街を破壊したり、攻撃してくる戦車や戦闘機を破壊するだけというのも残念な気がする。特撮のレベルとして、当時の他社作品に劣っているとは思わないが、なにを見せるべきかという点では誤解があったのかもしれない。特撮のステージも狭かったのかスケール感に乏しいというのも惜しい。

ギララという怪獣の造形がいいだけにそれを活かしきれていない印象がなんとももったいない気がしてしまう。また緊迫した雰囲気のストーリー展開にあって、劇中繰り返し流れる主題歌のメロディーが合っていないと感じるのはわたしだけだろうか。
 
ギララは本作のあと「寅さんシリーズ」の中でフィルムが流用されたほか、『ギララの逆襲』として2008年に復活した。

監督/二本松嘉瑞
キャスト/和崎俊哉、ペギー・ニール、フランツ・グルーベル、原田糸子、柳澤愼一、岡田英次、藤岡弘、ほか。
1967年/88分/日本

(文:猫目ユウ)