皆様こんにちは。ミリタリーにおける『食』、特にレーションについてご紹介していくDachoの『ミリヲタ的グルメ』。

第八回目は、カナダ軍の標準的なレーション、IMPです。


●カナダ軍IMP
カナダ軍IMPの写真です。IMPとは、Individual Meal Pack(個人用食料パック)の略です。

1パックが1食分になっていて、朝食用、昼食用、夕食用があります。

英語とフランス語を公用語とするカナダのレーションなので、表記はすべて2ヶ国語になっています。
軍用品であるレーションは、一般にちょっといかついデザインである場合が多いのですが、このカナダのIMPは、茶色の紙袋に文字が書いてあるだけのシンプルなデザインです。この紙袋というのも非常に珍しいです。

ほとんどの国のレーションは、ビニールパックか箱に入っています。
例外的なのは、先日紹介したロシアやウクライナのプラスチックケース、自衛隊のむき出しでバラの缶詰、そしてカナダの紙袋などです。

まあ、紙袋と言っても内側はアルミでコーティングされているので、十分に丈夫で防水性もあります。

●開封!
今回試食するのは、昼食用のメニュー1、「ポーク・チャウ・メン」です。

開封すると、細々した物も含め、1食分にしてはかなり色々なものが出てきます。

・ポークチャウメン
・パン
・インスタントオリエンタルライス
・チェリーのシロップ漬け
・粉末ジュース(レモン)
・ラズベリージャム
・ピーナツバター
・インスタントコーヒー
・ティーバッグ(オレンジペコー)
・粉末クリーム(コーヒー、紅茶用)
・醤油
・砂糖
・塩
・胡椒
・チョコウェハース(コーヒー味)
・キャンディー(ミントチョコ味)
・ウェットティッシュ
・ブックマッチ
・スプーン
・爪楊枝
・紙ナプキン
・メニュー表

日本人としては、インスタントオリエンタルライスと醤油が気になるところです。「オリエンタルライス」という名前だけでは、どんな料理か想像が難しいですね。

そして自衛隊の戦闘糧食にも入っていないパック醤油。まさかカナダ軍が採用しているとは、驚きです。

●実食
早速食べる準備です。
ポークチャウメンを温め、インスタントオリエンタルライスにお湯を入れて、粉末ジュースを水で溶きました。

ポークチャウメンとは、豚肉の焼きそばのことです。で、盛り付けたこの料理、どう見ても焼きそばではなさそうです。

食べてみてもポークシチューみたいで、麺は全く入っていません。何か大きな誤解があるのでは…とも思うのですが、このポークチャウメンを製造したのは、以前アメリカ軍のMRE向けにポークチャウメンを製造していた会社なのです。
MREのポークチャウメンは、スナック菓子のような麺のあんかけ焼きそばでしたので、ポークチャウメンがどんな料理なのか知っているはずなのですが…
味は、まあ可もなく不可もなく、これといった特徴もなく、無難な感じでした。
調味料で好きに味を調えてくれ、ということでしょうか。

そしてオリエンタルライス、パラパラした長粒米で、何かこげ茶色のソースらしきものが少しかかっています。
匂いはなく、パサパサした感じで日本の米とはかなり違います。ソースの味が軽くします。
醤油をかけてみましたが、元々のこげ茶ソースの味と同じでした。醤油の風味はなく、期待してはいけなかったようです…

パンは、甘い香りがしておいしそうですが、食べてみるとボサボサしていました。パッケージには、温めていいよ、と書かれているので電子レンジで軽く温めてみました。すると、フワフワで美味しくなりました。製造から4年以上たっているとは、とても思えない感じです。
ピーナツバターを付けて食べましたが、ラズベリージャムも使うほどにはパンは大きくありませんでした。

チェリーのシロップ漬けは、あまり甘くなく、さっぱりして食べやすかったです。

カナダ軍IMPは、これまで何度か食べていて、結構美味しくて気に入っていました。でも残念ながら、アジアの料理はやめておいた方がいいんじゃないかなあ…というのが今回の感想です(笑)

【注意してください!!】
カナダ軍IMPを初めとする各国のレーションは、我々民間人が手に入れて食べることを前提としていません。
これらを販売する業者なども、あくまでコレクション品として取り扱っています。
食品としての安全性は、各国政府、製造業者、販売者の誰も保証してくれませんので、万が一食べる場合は、すべて自己責任になります。

■ライター紹介
【Dacho】

中学時代に「エリア88」と出会い、ミリタリーに目覚める。数年前、以前から気になっていたMRE(米軍のレーション)をミリタリーショップで発見し、レーションオタクの道へ。急速に自宅の空きスペースを浸食していくレーションの山と日々闘い続けている。