「うちの本棚」第二十七回は伝説の漫画家・岡田史子のデビュー作にして代表作『ガラス玉』をご紹介いたします。
『ガラス玉』は虫プロ商事の月刊誌「COM」に掲載され、新人賞を獲った代表作である。
当時「COM」には「ぐら・こん」という、新人漫画家の登竜門的な投稿コーナーがあり、多くの漫画家を輩出していたが、この『ガラス玉』はその中でも漫画家を目指す人たちに影響を与えた作品だった。

新人投稿作品である本作の続編をオリジナルで描いた投稿者が複数いたことでもその与えた影響はわかるだろう。

自分はリアルタイムで読んだわけではなく、かなりの年数が経ってから、古本で入手した「COM」で読んだのだが、それでも衝撃は大きかった。

残念なことに、岡田史子の作品は単行本化される機会に恵まれず、初めて「サンコミックス」で『ガラス玉』が発行されるころには、すっかり「伝説の漫画家」となっていた。

岡田史子の魅力は、ひと言で言ってその感性だ。

ビジュアル面でも、ストーリー面でも、岡田の感性だからこそ、というのが正直な印象である。
当時「COM」に掲載されていた作品から強引に例えてみるなら、石森章太郎の『ファンタジックワールド ジュン』のテクニックで、永島慎二の『フーテン』を描いたような感じだろうか。
どこかノスタルジックで異国情緒が漂うこの作品。未読の方はぜひ読んでみて欲しい。

初出:COM ’68年
書誌:サンコミックス / NTT出版版作品集 / 飛鳥新社版作品集

■ライター紹介
【猫目ユウ】

ミニコミ誌「TOWER」に関わりながらライターデビュー。主にアダルト系雑誌を中心にコラムやレビューを執筆。「GON!」「シーメール白書」「レディースコミック 微熱」では連載コーナーも担当。著書に『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』など。