「ナナメ観 特撮映像館」、第十五回目となる今回は水野久美演じるキュートなX星人が印象的な『怪獣大戦争』を紹介します。

本作では木星の裏側に発見された新惑星Xの調査のため、ふたりの宇宙飛行士が飛ぶところから始まります。そこには人類よりも進んだ科学文明を持ったX星人がおり、キングギドラのために地上での生活ができないため、地球のゴジラとラドンをX星に運び、ギドラを駆除したいという。


X星人の科学力によって眠っていたゴジラとラドンは運ばれていき、地球の驚異がなくなったとホッとしいると、逆にギドラが地球を襲い、すべてはX星人の陰謀だったことが判明する…。

いまでも人気のあるX星人のコスチュームと、それを着込んだ水野久美を見るための作品…と言ってしまってはオーバーか。
本作ではゴジラが、当時流行していた『おそ松くん』のギャグ「シェー」をすることでも有名。コンピューターに支配されたX星を進みすぎた科学への警告としていたり、ニックと水野のロマンスがあったりと、ストーリー的には充実しているものの、ゴジラの存在感は逆に薄くなっている。

また、前作『地球最大の決戦』と印象がダブってしまい混乱するという人もいるのではないだろうか(自分がそうでした)。撮影や内容はキチンとしているものの、企画的に前作の流用のように思えてしまう(単に登場怪獣がダブっているだけですが)。
主演の宝田 明は第1作以来『モスラ対ゴジラ』に続いての出演。演技にも余裕が感じられます。

監督/本多猪四郎、特技監督/円谷英二
キャスト/宝田 明、水野久美、ニック・アダムス、久保 明、ほか。
1965年/日本/94分
※73年に「怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ」と改題して短縮版が公開されている。

(文:猫目ユウ)