「ナナメ観特撮映像館」、第十四回目となる今回は『三大怪獣 地球最大の決戦』です。ラドンのゴジラ映画デビュー作品。そしてキングギドラ初登場作品となります。

セルジナ国の王女が日本に向かっている途中、乗っていた飛行機が空中爆発。暗殺の噂もある中で、王女ただひとりが生き残り、金星人を自称して日本のあちこちで人類に対して警告を続ける。


なにごともなく日本に着いていればボディーガードをするはずだった進藤は、金星人を自称する王女が記憶を失っていることを突き止める。また、同時にセルジナ国の暗殺者集団も王女を狙って日本にやって来ていた。金星人の警告通りゴジラやラドンが目覚め、各地を破壊しながら両怪獣は激突。またその一方で頻発していた流星が隕石となって落ちた黒部渓谷では、隕石の中からキングギドラが誕生してしまう。
テレビ出演のため来日していたインファント島の少美人は、この危機にモスラを呼んでゴジラとラドンを説得し、キングギドラに立ち向かわせるという。
かくて、ゴジラ、ラドン、モスラ対キングギドラの戦いが始まるのだった。

第一作以来人類に敵対するものとして登場してきたゴジラが、人類に味方する最初の作品になる。ぬいぐるみもスーツアクターの動きを重視してスリム化されているのが画面でも感じられる。

もともと人類と共存関係にあるモスラを介して、宇宙怪獣とゴジラを闘わせるということで、いきなりゴジラが人類の味方になるわけではないが、モスラに説得されるゴジラとラドンの擬人的な演出はそれまでの作品とは一線を画するといっていいだろう。

それにしてもキングギドラの強さが印象づけられる作品ではなかっただろうか。「宇宙怪獣」というだけで地球の怪獣が協力しなければ勝てない相手というスケールの違いが描かれているが、ゴジラ、ラドン、モスラの共闘でも追い払うのが精いっぱいというのは強すぎである。すでにあとのシリーズ作品への登場も目されていたのかもしれないが、もう少しゴジラ側にスッキリとした勝利感があってもよかったような気がする。また前作から年一作ペースで制作されるゴジラシリーズだが、本作から12月公開の恒例作品になった。

余談だが、王女の乗った飛行機が爆発するシーンの前後は、石森章太郎・平井和正の漫画『幻魔大戦』と印象がダブってしまった。

監督/本多猪四郎、特技監督/円谷英二
キャスト/夏木陽介、小泉 博、星由里子、若林映子、ザ・ピーナッツ、ほか。
1964年/日本/93分

(文:猫目ユウ)