国民年金の第1号被保険者(20歳以上60歳未満の自営業者や農業者、学生、無職の人など)の方々、どうやって保険料を納めていますか?

 筆者もフリーランスなので第1号被保険者です。先日、最もお得な「2年前納」を初めてしてみました。2年前納は、最大で約1か月分の納付額が割引されます。

 そのことをツイートすると「2年前納があるとは知らなかった」という声がチラホラ。そこで、年金保険料の基本的な納付方法やお得な前納についてまとめてみました。 

 令和5年度の「2年前納」の納付期限は過ぎましたが、今なら「6カ月前納」に間に合います。ぜひチェックしてみてください。

■ 国民年金の納付方法は3つ

 国民年金保険料を納付する方法は3つあります。

・納付書での支払い
・口座振替での支払い
・クレジットカードでの支払い

 通常の納付方法は、毎月納付です。納付期限は、納付書・口座振替による支払いの場合、納付対象月の翌月末日、クレジットカードによる支払いの場合、納付対象月の当月末日となります。

<参考>日本年金機構|国民年金保険料

 毎月納付の場合、割引はありません(口座振替の早割を除く)。そのため、納付方法による差は特にありませんが、支払いの手間を考えると口座振替やクレジットカードでの支払いが便利です。

 なお、令和5年2月20日より、納付書のバーコードを読み取ることで下記の決済アプリで納付できるようになりました。

▼ 国民年金保険料を納付できる決済アプリ
・auPAY
・d払い
・PayB(PayBと提携している各金融機関が提供する決済アプリを含む。)
・PayPay
・楽天ペイ(2023年4月17日から対象)

<参考>日本年金機構|スマートフォンアプリでのお支払い

■ 前納の種類と割引額

 国民年金保険料の前納は4種類です。

・2年前納
・1年前納
・6カ月前納
・当月末振替(早割)※口座振替のみ

 当然、前納の期間が長いほど割引額も多くなります。また、納付方法によっても割引額が異なります。口座振替が最も割引額が多く、納付書・クレジットカードの割引額は同じです。

 それぞれの納付方法の割引額や手続き・納付期限を解説します。

--口座振替で前納する場合

 口座振替で前納する場合の納付額と割引額は以下のとおりです。(金額はすべて令和5年度の場合、割引額は通常の毎月納付との比較)

・2年前納……納付額:38万5900円(割引額:1万6100円/2年)
・1年前納……納付額:19万4090円(割引額:4150円/年)
・6カ月前納……納付額:9万7990円(割引額:1130円/6カ月)
・当月末振替(早割)……1万6470円(割引額:50円/月)

 ご覧のとおり、口座振替で2年前納した場合1万6100円が割り引かれます。令和5年度の場合、通常の毎月納付額は1万6520円ですから、約1カ月分に相当する割引額です。

 口座振替で前納する場合、書類の提出が必要です。 

【提出先】
・振替口座のある金融機関の窓口
・近くの年金事務所の窓口、郵送も可

【提出期限】
・2年前納、1年前納……2月末まで
・6カ月前納……4月〜9月分の前納は2月末日まで、10月〜翌3月分の前納は8月末日まで
・当月末振替(早割)……いつでも申込み可

【納付期限(口座振替日)】
・2年前納、1年前納……4月末
・6カ月前納……4月〜9月分の前納は4月末日、10月〜翌3月分の前納は10月末日

<参考>日本年金機構|口座振替でのお支払い

 筆者は、年金事務所が自宅近くにあるため、2月末に訪れて手続きを済ませました。わかりやすく教えてもらえたので、初めてでよくわからないという方は年金事務所に行くことをおすすめします。

--納付書で前納する場合

 納付書で前納する場合の納付額と割引額は以下のとおりです。(金額はすべて令和5年度の場合、割引額は通常の毎月納付との比較)

・2年前納……納付額:38万7170円(割引額:1万4830円/2年)
・1年前納……納付額:19万4720円(割引額:3520円/年)
・6カ月前納……納付額:9万8310円(割引額:810円/6カ月)

 口座振替よりも割引額は少なくなりますが、2年前納の場合、約1万5000円の割引です。

 納付書の場合、1年前納・6カ月前納の手続きは必要ありません。4月初旬に送られてくる納付書を使って前納できます。

 2年前納の場合は、口座振替と同様手続きが必要です。2月1日〜2月末までに、近くの年金事務所に申出書を提出します。

【納付期限】
・2年前納、1年前納……4月末まで
・6カ月前納……4月〜9月分の前納は4月末日、10月〜翌3月分の前納は10月末日まで

 なお、4月を過ぎても納付書による2年前納を申し込むことは可能ですが、納付期限は4月末で変わらないため注意しましょう。

 また、納付書での支払いに限り、任意の月から当年度末または翌年度末までの前納が可能です。(例:令和5年7月分〜令和6年3月分、令和6年1月分〜令和7年3月分など)この場合、年金事務所に問い合わせて、前納用の納付書を発行してもらう必要があります。

<参考>日本年金機構|納付書でのお支払い

--クレジットカードで前納する場合

 クレジットカードで前納する場合の納付額と割引額は、納付書の場合と同じです。また、クレジットカードで前納する場合、手続きが必要です。

【提出先】
近くの年金事務所の窓口、郵送も可

【提出期限】
・2年前納、1年前納……2月末まで
・6カ月前納……4月〜9月分の前納は2月末日まで、10月〜翌3月分の前納は8月末日まで

【立替納付日】
・2年前納、1年前納……4月末
・6カ月前納……4月〜9月分の前納は4月末日、10月〜翌3月分の前納は10月末日

 なお、納付に使用できるクレジットカードは、以下の国際ブランドマークが付いたクレジットカードのみです。

・VISA
・MasterCard
・ダイナースクラブ
・JCB
・アメリカンエキスプレス(アメックス)

 また、前納をする際はクレジットカードの利用限度額に注意しましょう。利用限度額超えで立替納付ができなかった場合、以下の取り扱いになります。

●2年前納・1年前納の場合
翌年4月までの間、自動的に割引のない毎月納付になる
※2年前納の場合、翌年4月に2年前納分が立替納付される

●6カ月前納の場合
10月または翌年4月までの間、自動的に割引のない毎月納付になる

<参考>日本年金機構|クレジットカードでのお支払い

■ お得な前納も選択肢のひとつ

 国民年金の納付方法や前納について紹介しました。

 一度の出費が大きい前納ですが、最大で約1カ月分の割引があるため、長い目で見るとお得です。毎月納付をしている方も、選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

(上村舞)