「呪文」なんて“揶揄”もされる「ビジネス用語」。とりわけ「カタカナ語」などと称される横文字が“やり玉”に上がりがちですが、実のところ様々な「種類」が存在します。

 長らくIT業界に身を置くうめめさんは、それを「わけがわからないよ」と「わかりみが深い」2例で紹介しました。

 「JTC生まれJTC育ちなので、アジェンダのコンセンサスをアグリーしてくださいと言われても理解できませんが、ポンチ絵作ってエイヤでガッチャンコしてくださいは完全に理解できます」

 この日、Twitterに上記の発信を行ったうめめさん。いずれも、読んでるだけで頭がしっちゃかめっちゃかになり、そのままフットーしそうな羅列となっています。

 恐らく多くの方が「どこぞの特務機関かよ!」と初っ端から突っ込んだであろう「JTC」ですが、これは「Japanese Traditional Company」の略称。直訳すれば「日本の伝統的な企業」となり、老舗とも置き換えられるネット・スラングです。ベンチャーに代わり、昨今多く用いられている「スタートアップ」の対照ともいえますね。

 次に理解に苦しむのが「アジェンダのコンセンサスをアグリー」。

 「ザギンでシースーベーター」のようなフレーズですが、「議題・課題(アジェンダ)」「許可・承諾(コンセンサス)」「同意・賛成(アグリー)」という意味から見て、「議案の承諾について同意願います」といった内容。近年耳にするようになった、比較的新しいビジネス用語です。

 反対に、うめめさんがなじみ深い例で挙げたのが「ポンチ絵作ってエイヤでガッチャンコ」。「ポンチ絵」は業界によって捉え方がいくつかあり「ラフな漫画」や「大まかな概略図(下書き)」などをさします。そして「ざっくり(エイヤ)」「くっつける(ガッチャンコ)」ということで、今回の場合は要するに「下書きを作ってください」ということ。

 「特段意味はありませんよ。いわゆる『ツイッター的』なものですね」とうめめさんが振り返るように、この投稿に何らかの意図はありませんが、逆に言い換えれば、「どっちも分かんねえよ!」とツッコミが入る小噺でもあります。

 先述したように「横文字」の最たる例が、「アジェンダのコンセンサスをアグリー」。使い続けることで、すっかり市民権を得た気になっている新進気鋭のワードです。

 一方、今回うめめさんが挙げた「ポンチ絵作ってエイヤでガッチャンコ」ですが、実はかつて筆者が所属していた「JTC」でも使われていました。つまりそれほど広く知られたビジネス用語。近頃では「おっさんビジネス用語(おじさんビジネス用語)」と呼ばれています。日本語かつそこそこ年季が入っていますが、つまるところはカタカナ語と大差ない「謎ワード」なんです。

 この2つに大した違いはありません。新しいか古いかの違いだけで、寧ろ「新人類」と「Z世代」くらいには同属です。しかし、古のネット用語よろしく、専門界隈でついつい使いがち。人間の深層心理をくすぐるのでしょう。

<記事化協力>
うめめさん(Twitter/note:@beConjuror)

(向山純平)