色鉛筆の中でも多く使われる赤と青は、それぞれを1本にまとめた「赤青鉛筆」が商品化されています。両側から削って赤と青とを使い分けますが、その境目はどうなっているのでしょう?

 1本の赤青鉛筆を15年使い続け、とうとう赤と青の芯の境目に到達した、という貴重な画像がTwitterに投稿されました。

 赤青鉛筆を使い続け、ついに赤と青の境目に到達したのは、茨城県水戸市にある水戸市植物公園に勤務する「心の中の植物園 宮」こと宮内元子さん。この鉛筆は、前職である東京都渋谷区立ふれあい植物センター(2021年末より施設改修のため閉園中)の園長時代から、15年にわたって使い続けていたのだそう。

 幼少期に谷川俊太郎さんが文を書いた絵本「いっぽんの鉛筆のむこうに」を読んで以来、ものを最後まで使いきるようにしているという宮内さん。使いきるまでは新しいものをおろさず、鉛筆の場合はホルダーを使いながら削れなくなるまで使っているのだといいます。

 これまでは通常の色鉛筆を使い、最後まで使いきっていたそうで、赤青鉛筆を使い切ったのは初めての経験。気になる芯の境目は赤と青の芯が接着されており、その境目が削り出されたことによって赤の芯が筆記中、先端からポロリと脱落してしまったそうです。

赤の芯が境目から脱落したしたことを伝えるツイート(スクリーンショット)

 脱落した芯はほんのわずかな長さですが、それでも宮内さんは「ギリギリまで使いたかったので、残念だと思いました」と落胆した様子。残った青の方は「まだ削れるので使います」と、頼もしい言葉も聞かれました。

 「そもそも使い始めた時には『赤と青の境目が自分の目で見たい』と思って使いはじめましたが、今回見られた事で赤青鉛筆に関しては納得したので、他のものを使い切る事を次の目標にしています」

 根本的にあるものを使い切るのが好き、という宮内さんはメーカーやブランドにもこだわりはないのだそう。今後は「職場の文房具の中で誰かが使わなくなった赤鉛筆を使って、使い切る予定です」と話してくれました。

 宮内さんがものを使い切ろうと思うきっかけになった「いっぽんの鉛筆のむこうに」は、1本の鉛筆ができるまで、各工程に携わる多くの人を丹念に紹介した本。赤青鉛筆の境目まで使われ続けたのは、作られる工程に携わるすべての人にとっても、仕事冥利に尽きることかもしれませんね。

<記事化協力>
心の中の植物園 宮さん(@fureai_miya)

(咲村珠樹)