陸上自衛隊で唯一のパラシュート(空挺)部隊である第1空挺団。最前線や、敵の只中に空から突入する精鋭部隊で、毎年1月に公開される「降下訓練始め」には多くの人が見学に訪れます。

 そんな第1空挺団の降下訓練を演習場の外から見た光景がTwitterに投稿されました。まるで、占領された街を空から救いに来たようです。

 この光景をTwitterに投稿したのは、ミリタリー関連のジャンルで同人活動をしているHoundさん。話をうかがうと、これは2018年の「降下訓練始め」の際、所用で一足早く演習場を後にした際に演習場の外から撮影したものだそうです。

 千葉県船橋市習志野3丁目と八千代市高津に広がる習志野演習場。第1空挺団の所在する習志野駐屯地に近接し、降下訓練や自動車の運転訓練などのほか、航空自衛隊の対空ミサイル(ペトリオット)部隊である第1高射群第1高射隊も所在しています。

 周辺の地図を見ると分かるのですが、習志野演習場は周囲を住宅地に囲まれた立地。このため、演習場から離れたところで降下訓練を見ると、まるで住宅街の中へパラシュートで降りていくように見えるという訳です。

降下する演習場が見えないので街に降りているかのよう(Houndさん提供)

 その光景は、まるで敵に占領された街を奪還するべく、空から突入しているかのよう。近年の「降下訓練始め」では島しょ奪還のシナリオで訓練展示が実施されていますが、離れたところから見ると、まさに助けに来てくれた……という感じですね。

住宅街の中の習志野演習場へ降りていく空挺隊員(Houndさん提供)

 以前、筆者が空挺隊員に話をうかがったところ、地上にいると広く感じる習志野演習場も、上空から降下する時はとても狭く見えるんだそう。風で流されることもあり、降下訓練の際は風向きや強さを計算し、航空機は設定されたコースを精密に飛行するのだとか。

 気象条件を観測する気象班や、航空機を誘導する地上の誘導員、そして誘導に従って正確に航空機を飛ばすパイロット。それぞれのプロフェッショナルな働きが、華麗な空挺降下を支えているんですね。

 習志野演習場での降下訓練は、1月の「降下訓練始め」だけでなく、年間を通して実施されています。詳しい日程は第一空挺団の公式サイトで公開されており、訓練日には同じ光景を見られますが、演習場への立ち入りはできず、周辺も静かな住宅地ですので、騒いだり駐車違反など周辺住民の迷惑にならないよう、注意と配慮が必要です。

<記事化協力>
Houndさん(@Hound_7)
<参考>
陸上自衛隊第1空挺団降下等訓練日程表

(咲村珠樹)