「2度寝は人間の再起動」

 まるで真理のようなフレーズですが、これをレトロな字体で作字(レタリング)したのは、「ものがたちデザイン」の屋号で活動するReeyaさん。

 イベント用に制作したという作字は、どことなく昭和を感じさせる「音のない音楽」へと変貌。「だからお願い責めないで」という“懇願”に、1万以上のユーザーがいいねという名の頷きをしています。

 大学では文学部に在籍し、日本文学を専攻したというReeyaさん。

 デザイナー活動において、「カタチにものがたりを吹き込む」を信条にした作品は、自分自身へのメンタルヘルスも兼ねており、選んだ題材が本来有していた「ネガティブ」を「ポジティブ」に変換。

題材が元来持つ「ネガティブ」を「ポジティブ」に変換した文字デザインを施す投稿者。

見る人に「ものがたり」を伝える文字デザインを心がけています。

 「『少しでも誰かの心に届けば、救いになれれば』と思いながら活動しています」と、見る人に「ものがたり」が始まるきっかけを提供できることを心がけています。

 さて、本作は大阪府にある「阪神百貨店梅田本店」にて、2023年1月2日から10日まで開催されるポップアップイベント「新春レトロ文字部」用に制作したもの。

 恐らく多くの方が少なからずの「罪悪感」を持つ「2度寝」ですが、少しでもポジティブな印象を持たせるため、まるで「ベルサイユのばら」のタイトル文字のような、エレガンスなレタリングが施されています。さらにこだわったというのが、そこから続く言葉選び。

 「語呂のいい言葉を考えた結果、『短歌』にたどり着きました。実は1年半くらい前から趣味で書き溜めていて、日常を31音で切り取るというのが、自分の作風にも相性がいいんです」

 自作短歌の「二度寝はね、人間たちの再起動。だからお願い責めないでいて」と謡った中で、前半の「人間の再起動」を文字に、後半の「責めないで」は、星のイラストや眠るの英語の擬音語とともにレイアウトの一部に組み込んで完成した作品。

1年半前から短歌をヒントに制作。

 変則的な“切り取り”には、合わせ技一本とばかりに1万を超えるいいねが寄せられる反響となりました。

投稿には1万いいねをこえる反響。

 「いつも作品は紙でペン書きしてからデジタルで仕上げているので、今回アナログのみで描いたのは難しかったです。『新春レトロ文字部』に向け、それで作字の練習をしていたので、多くの方に見ていただき、とても嬉しい気持ちです」

 一連の反響に対し、Reeyaさんは最後このように振り返っています。

※初出時「レトロ文字部」とすべきところ、「レトロ文学部」と記載しておりました。訂正しお詫びいたします。(更新:2023年1月6日18時17分)

<記事化協力>
Reeyaさん(Twitter:@Reeya_oekaki/Instagram:@reeya_oekaki)
レトロ文字部(Twitter:@retoromojibu/Instagram:@retoro_mojibu)

(向山純平)