一見するとサイコキラーな写真をTwitterに投稿したのは、発泡スチロール模型などを製造している木村鋳造所の公式Twitter。

 「自分の影が怖くて震えた」と公開した写真には、人の上半身を袋に入れて持ち歩く何者かの影が写っています……こ、これはいったい……。

 木村鋳造所は1927年創業の静岡にある鋳物屋。鋳物を綺麗に作るために、長年発泡スチロールの加工技術を磨き、今では20mほどの発泡スチロールの造形物を作ることが可能。木村鋳造所の発泡スチロールの模型は、全国のアミューズメント施設などで活躍しています。

 今回、袋に入れられている人間の上半身はもちろん本物ではなく、木村鋳造所の公式Twitterに度々登場する、社員をスキャンして作った発泡スチロールの模型。サンプル品とは思えないほど、精巧にできています。

 木村鋳造所の担当者にうかがうと、今回の写真は倉庫から事務所に持っていくために工場の敷地内を歩いている時に自分の影を撮影したものだそうです。

社員をスキャンして作った発泡スチロールの模型

 運んでいる途中、お客さんや社員に「怖い!」「え?なんですかそれ?」と驚かれたそう。「見慣れている社員でも驚くので、お客様が悪い夢を見ないよう祈るばかりです」と願っていました。

 これまで自分の影が怖くて震えたことはあったか聞いたところ、「今までにはありませんでした」と笑う担当者。発泡スチロールの模型を運んでいるだけなのに、自分の影があまりにもホラーで衝撃的だったと語ります。今回ばかりは、精巧すぎる技術があだとなったようです。

 ちなみに今回多くの人を震え上がらせたサンプル品は、「作る設備があるし試しに作ってみよう!」という軽い気持ちから生まれたもの。木村鋳造所は受注生産となっていて、守秘義務などから自社の商品をTwitterなどで公開できないので、頻繁にこのサンプル品を登場させているのだとか。

 登場するたびに「技術力の無駄遣い」と言われているそうで、「褒め言葉と素直に受け取っております」と担当者。「発泡スチロールとは思えないクオリティで技術力をアピールできるものに仕上がった」と、サンプル品の出来映えに満足している様子でした。

登場するたびに「技術力の無駄遣い」と言われている

 それもそのはず。こちらのサンプル品、完成までに3か月半もかかっています。スキャンから発泡スチロールの模型を作るまでは社内でおこなったそうですが、リアルな顔を表現するためにプロの特殊メイクの人に塗装をお願いしたといいます。サンプル品といえども手を抜かない、職人の熱い気持ちが表れていますね。

<記事化協力>
木村鋳造所公式Twitter(@KimuraFoundry)

(佐藤圭亮)