大阪市にある大阪歴史博物館が2022年12月1日より、一部の所蔵品について3DデータをSketchfabにて公開しました。内容は現在のところ、土器や土偶などの考古遺物や大阪の民俗玩具など26点。データは「政府標準利用規約(第2.0版)」が適用され、商用利用も可能となっています。

 飛鳥時代から奈良時代にかけての難波宮跡(難波宮跡 附 法円坂遺跡)を整備した、難波宮跡公園に建つ大阪歴史博物館。地下1階フロアには難波宮跡が発掘当時の状態で保存され、見学することができます。

 このほかにも様々な文物を所蔵・展示しているのですが、2022年12月1日より、一部の所蔵品を3Dスキャンしたデータを無償公開し、ダウンロードして利用可能にする取り組みが始まりました。現在のところ、公開されているのは考古遺物を中心とした26点。

 土器や土偶といった縄文時代の資料3Dデータは、かつて滋賀県長浜市の一般財団法人下郷共済会が所蔵していたコレクションが公開されている模様。そのほとんどが、明治時代の東京・銀座で開業していた歯科医、高島多米治(号:唯峰)が収集したものだということです。

 千葉県千葉市の園生(そんのう)貝塚から出土した土偶は、一部壊れていることの多い土偶には珍しく、元の状態が確認できるもの。背面には「園生」の墨書が残ります。

 茨城県稲敷市の福田貝塚から出土した双口土器は、真上から覗き込むと内部に貼られた分類用のシールまでが確認できます。底面には分類用シールのほか「薬師台」という墨書も。通常展示されている状態では見ることができないものです。

 宮城県東松島市の宮戸島にある里浜貝塚から出土した把手付注口土器は、側面に「宮戸島」と「大峯」の墨書が残ります。割れて失われている底部分のディティールも確認できます。

 古墳時代の出土品では、三角縁神獣鏡と画文帯神獣鏡が2点ずつ、計4点が公開されています。本物は手にとって見ることができませんが、3Dデータであれば拡大したり、いろいろな角度から鑑賞が可能。

 また、大阪の民俗玩具である「大阪張り子」も、2点が3Dデータとして公開されています。黄色い虎は、大阪市中央区道修町にある少彦名神社(神農さん)の例大祭「神農祭」での授与品で、腹側には「薬」の印があります。

 大きなものでは、前期難波宮(652年~686年)の石組み遺構の3Dデータがあります。これは大阪歴史博物館建設に先立って1997年に実施された発掘調査で出土したもので、小さな谷の始まり部分に埋設されたものだったようです。

 これらの3Dデータは、日本政府が定めた「政府標準利用規約(第2.0版)」が適用され、出典や編集・加工をした旨を記載した上で、誰でも自由にダウンロードや複製が可能。ただしそれぞれに別途適用している使用条件もあるため、実際に使用する際にはあわせて確認する必要があります。

 データを眺めるもよし、出力して活用するもよし。それぞれの方法で楽しめるので、一度Sketchfabの「大阪歴史博物館」ページをご覧になることをお勧めします。

<参考>
大阪歴史博物館 文化財三次元データのご利用にあたって
政府CIOポータル 政府標準利用規約(第2.0版)

(咲村珠樹)