俳句の「晩秋」の季語であり、毎年シーズンになると公園などで目にする果実「どんぐり」。見かけると不意に「収集」をしてしまいがちですが、持ち帰ったそれを「保管」するのに難儀する方も多いのでは。

 実は、社会貢献活動の一環で「どんぐり回収」を行っている施設が奈良県にあります。

「ご存知ですか?当センターでは“どんぐり”を回収しています!回収された“どんぐり”はすべて奈良公園で生息する鹿の餌として活用され、昨年度は200kg以上が集まりました!この秋、お子さんやご家族が集めた“どんぐり”を、ぜひ当センターの『どんぐり回収BOX』までお持ちください!」

持ち込み限定で回収を受け付けている「どんぐり回収BOX」。

 この日、「どんぐり回収BOX」についての案内をしたのは、奈良県奈良市にて、様々な市民公益活動を行う中間支援施設「奈良市ボランティアインフォメーションセンター」。

 2011年4月に誕生し、行政と地域の間に立ち、社会・地域・市民のために活動する団体や、ボランティア活動などを育成・支援していく中で、2018年に新設したのが「回収BOXコーナー」。

 物品回収を行う団体の活動を支援するため、使用済みのハガキ・切手・インクカートリッジ、未使用のタオルやマスク、不要になった玩具やベルマークなどなど、様々な回収BOXをセンター内に設置。回収品は、被災地支援・発展途上国支援・難病児童支援など、幅広い分野で活用されています。

2018年より、様々な物品の回収コーナーを常設している奈良市ボランティアインフォメーションセンター。

 今回反響となった「どんぐり回収」については、2021年夏に新たに設置したもの。奈良市内にある障がい者支援団体より、「鹿の餌になる『どんぐり回収BOX』を設置させてほしい」という相談があったことがきっかけでした。

 国の名勝である「奈良公園」内に生息する天然記念物「奈良の鹿」が、1000頭超生息しているのが奈良市。そしてどんぐりは、来る冬に備えての貴重な食糧です。

 奈良市ボランティアインフォメーションセンターにとっては、季節に合わせての告知投稿でしたが、これには国内外のTwitterユーザーが注目しました。障がい者支援に加えて、地域貢献にも繋がる反響には、「職員一同ただただ驚き」という担当者。「これだけ多くの方々に、『ボランティア』の魅力や、取り組みを知っていただけたのは嬉しく思います」と振り返っています。

 なお、当該BOXについては、奈良県民ならびに近隣府県在住者で、直接来館して寄贈出来る方に限定されています。郵送については、受け付けていないとのことです。

<記事化協力>
奈良市ボランティアインフォメーションセンター(Twitter:@naracity_nvic/奈良県奈良市三条本町13番1号)

(向山純平)