アイアンマンと蒸気機関車を愛する大学生のかいとさんの夢は「ロボットエンジニア」。小学生の頃に映画版アイアンマンを見て以来、「発明家になってロボットを作りたい!」と強く思うようになったんだそうです。

 プラモデルと電子工作から始めたモノづくりの中で、現在取り組んでいるのは、人間のような動きを搭載した「ロボットハンド」です。

 「ロボットハンド改良版 動きはだいぶ人間に近くなった」

 この日、かいとさんがTwitterに投稿したのは、ロボットハンドの動作状況を撮影した動画。最初「パー」になっている手が、「ウィーン」という機械音とともに「グー」になり、そしてまた「パー」に戻ります。

投稿動画に映っていた「ロボットハンド」。

機械音とともに、握って開いてと可動します。

 高校生の時から製作をはじめたというかいとさん。本機は「2号機」にあたり、「1号機」がデザイン性と機能性に課題があったため、“再開発”にいたったんだとか。

前作の「1号機」。

 それもあって、いずれも白と黒を基調とした配色ながら、SF作品に出て来そうなほどスタイリッシュで洗練された見た目&よりスムースな可動性へとブラッシュアップさせたのが本作。Fusion360でデータ作成し、3Dプリンターで出力をしています。

見た目も可動性も大幅に強化した本作。

Fusion360でデータ作成し、3Dプリンターで出力。

 また、9万を超える再生回数を記録する要因となった滑らかな動きは、それぞれの指の中に搭載した「形状記憶合金ワイヤー」が原動力。これにより、1つのサーボモーターで全ての関節部が同時に曲がる仕組みとなっています。

それぞれの指に仕込んだ形状記憶合金ワイヤーと1つのサーボモーターで滑らかな動きを実現。

 「こだわりでもあり苦労した部分でもありましたが、故障もほぼなく、見た目も満足のいくものになりましたね」

 製作者も納得の作品となった本作ですが、完成自体は2020年秋。今回の投稿動画は、当初プログラムしていたじゃんけんの動きの発展が目的でした。

 ちなみに、本作開発にいたったのは、かいとさんが当時直面した「挫折」がきっかけ。

 「2年生のとき、部活動で参加した『ロボカップジュニア』の全国大会の出場が決まっていたんですが、『コロナ』で中止になってしまいました。『ロボットハンド2号機』は、その時の不完全燃焼感を解消することが目的だったんです」

 かいとさんは現在、大学1年生。我々は将来、「自走ロボット」を開発する凄腕エンジニアを目にしているのかもしれません。

<記事化協力>
かいとさん(@ZRwWAaNjXdz3po0)

(向山純平)