幻想的な光やレトロな雰囲気が根強い人気の「ニキシー管時計」。部屋に飾っておくだけでも、心地よい雰囲気になってしまいます。

 レトロな雰囲気がただようニキシー管を使用した、持ち運びや充電が可能な「ニキシー管懐中時計」が、電気系エンジニアをされている作者の「mimori」さんによってTwitter上で公開されました。

 この時計の表示部分に使われている「ニキシー管」とは、真空管に似たガラス管の中に封入されているガスと電気の放電を利用して、数字や文字を表示する冷陰極管の一種。1950年代~1960年代を中心に、さまざまな機械の数字用ディスプレイなどに使われていましたが、ほかの効率良いディスプレイに取って代わられ、1990年代にはいったん製造が終わってしまいました。

 しかし最近では、小規模ながら新たに生産が始まっており、表示される数字がレトロフューチャー感あふれることもあり、再び注目を集めるように。特にニキシー管で時刻をデジタル表示する「ニキシー管時計」は、根強い人気のあるアイテムとなっています。

4ケタ表示の卓上ニキシー管時計(minoriさん提供)

 mimoriさんは、数年前からニキシー管の置き時計を作成していたとのこと。たまたま小さなニキシー管を入手したのがきっかけで、飾ることや身につける事のできる懐中時計型のニキシー管時計を作ることにしたのだそうです。

丸タイプのニキシー管懐中時計(minoriさん提供)

 小さなニキシー管といっても、懐中時計くらいのサイズを実現するには2ケタ分を表示するのが精一杯。そこで、本体の上部にあるネジをタッチすることにより「時」「分」「秒」の順番で時刻を表示する方法を編み出しました。

ニキシー管懐中時計の大きさ(minoriさん提供)

ネジ型スイッチ(minoriさん提供)

 さらに充電の方式も、ある程度の大きさを占めるUSB端子を使うものから、本体をUSB端子を備えたクレードルスタンドに置くことで接点がつながり、充電できる方式を採用。使い勝手や組み立てやすさを考えながら多くの試作を経て、現在の形になったそうです。

充電用クレードルスタンド(minoriさん提供)

 そういったmimoriさんの制作の秘訣は、デザインにこだわりながらも、組み立てやすさを考えて作られているそう。「まずは手を動かして、作品を完成させることで足りない部分や改良点が見えてくるようになる」と、ものづくりのコツも教えてくださいました。

 また、1人で試行錯誤していると行き詰まることもあるので、ものづくりの施設や、そういったコミュニティで情報交換や作品を見せ合い、外部から刺激を受けるのもおススメとのこと。そういった制作の努力や刺激を受けることで、普段使いとして持ち歩きたくなるような、持ち運びしやすいサイズ感とともに、シンプルかつ実用性もある作品になっていくのですね。

 mimoriさんの「ニキシー管懐中時計」は、東京ビックサイトで開催予定のオリジナル作品を出品・展示するイベント「DESIGN FESTA vol.56」にて11月19日・20日の両日、出展名「Nixie Clock Factory(ブース番号:K-239)」で見ることができます。今回ツイートで紹介された「ニキシー管懐中時計」は試作品で、現在も改良を重ねているため、頒布価格は未定とのことです。

<記事化協力>
minoriさん(@minori246)

(戦魂)