東京は西浅草にある昆虫食レストラン「TAKE-NOKO」に、昆虫が苦手な人でも大丈夫な新メニュー「まゆ刺し」が登場しました。特別なカイコの繭を材料に、サナギを取り除き繭そのものの味わいをシンプルに楽しめる品。これまでになかった食感が評判を呼んでいるといいます。

 東京メトロ銀座線田原町駅が最寄りの「TAKE-NOKO(東京都台東区西浅草1-3-14 2F)」は、タガメサイダーをはじめ色々な昆虫食を手掛けるTAKEO株式会社が運営する店舗。実店舗ならではのメニューもあり、昆虫食の魅力を知るには最適のお店です。

 今回、新メニューとして登場した「まゆ刺し(480円)」は、代表の齋藤さんが特別なカイコの作る繭「セリシン繭」と出会ったことで生まれたもの。取引のある国内の養蚕家からたまたま買い入れることができたそうで、いわば運命の出会いともいえる話です。

まゆ刺し(480円)(TAKEO株式会社提供)

 カイコの繭を作っている糸は主に、中心にあるフィブロイン(絹糸の材料)と、それを周囲で保護しているセリシンという2種類のタンパク質で構成されています。絹糸を取るための一般的な繭はフィブロインが75%、セリシンが25%という比率だそうですが、セリシン繭はセリシンが98.5%と圧倒的にセリシン率の高い繭。フィブロインが少ないため、デリケートで壊れやすい繭だといいます。

 セリシンは保湿美容液などの化粧品やシャンプー、入浴剤に加え、食品にも使われる肌に優しいタンパク質。それを主成分としたセリシン繭をいかに味わってもらうか、社内でプロジェクトが始動しました。

 試行錯誤の末、セリシン独特の質感やクセのない風味を楽しめる「刺身」にするアイデアが生まれ、誕生したのが「まゆ刺し」。調理法はシンプルで、茹でて冷水で締めた繭を醤油と薬味でいただきます。

 中のサナギは取り出されており、昆虫食独特の見た目が苦手な方でも大丈夫。イカやクラゲのような半透明さは、セリシン繭ならではの質感といえます。

半透明の見た目はセリシン繭ならでは(TAKEO株式会社提供)

 新メニュー「まゆ刺し」は、2022年10月8日に開催された「野蚕祭」から提供を開始。実際に食べたお客さんからは「おいしい」「繭とは思えない」という驚きの声が。また「クラゲのような食感」や「エンガワの脂を落とした感じ」と、食感や味わいについての感想も聞かれたといいます。

 現在は「ホリデーキッチン」として料理の提供に力を入れている、土日・祝日限定のメニューとなっていますが、今後平日にも提供できるよう検討を進めているとのこと。人気が出そうな感じもしますが、今のところ在庫の心配はなく、土日祝に来店すれば「まゆ刺し」を味わうことができるそうです。

 昆虫食が初めての方も、また昆虫食好きの方も、これまでの「昆虫食」観が覆されそうな「まゆ刺し」。爽やかな見た目と独特の食感は、多くのファンを生みそうです。

<記事化協力>
TAKEO株式会社公式Twitter(@takeo_tokyo)
「TAKE-NOKO」公式Twitter(@TAKE_NOKO_648)

(咲村珠樹)