日本の伝統衣裳である着物。お正月や成人式の晴れ着、夏の浴衣だけでなく、普段の生活に取り入れるのも楽しいものです。

 着物と洋服との違いで代表的なのがポケットの有無。しかし、ポケットがなくても着物には色々なところに「収納場所」が隠れているんです。着物に隠れた収納ポイントを紹介した図解がTwitterに投稿されました。

 この図解をツイートしたのは、大西里枝さん。京都市の本燈籠町にある京扇子のお店、大西常商店の若女将です。

 それによると、懐には領収書や名刺など薄いもの、そして帯の隙間にはスマホや鍵といった大事なもの。両袖のたもと部分には「ゴミ」とあります。

 普段、着物姿でお店に出ているという大西さん。普段使いということもあって、洗濯機で洗えるタイプなのだそうですが「洗濯機にかける時、夫から『袖からゴミ出した!?』と毎回聞かれるので『そういえばめっちゃゴミ入れてんなw』というきっかけで」図解をツイートしたのだそう。

 大西さんは「大事なもの、失くしてはいけないものは基本的に帯の中に押し込みます。折れてほしくないもの、すぐ出せるものは懐に入れておきます。日常で出るちょっとしたゴミは袖の中に全部ぶち込みます」と、普段の様子を話してくれました。

着物の収納力ツイート(スクリーンショット)

 このツイートには、着物の意外な収納力に驚く反応ばかりでなく、同じく着物を着ている方から同調するリプライも寄せられました。中にはお太鼓(太鼓結びの結び目部分)に、冊子ものや手拭いを仮置きしてしまうという声も。確かに、あの部分にはちょっとした本を入れられるスペースがありますね。

 いったん民間企業で働いた後、家業を継ぐために戻ってきた大西さんは、着物でお店に出ることについて「なんか洋装が合わない業種だったので、自分で選択しましたが、やっぱり毎日はしんどいイメージでした。実際今もやっぱり洋装の方が楽です(笑)」と語ります。

 しかし、日常的に着物で仕事をするようになると認識が変わります。「和装だから動きづらいということはなくて、めちゃくちゃ機動力高いです。なんでもできます」と、思っていたよりも自由なことに気付いたのだとか。

 着物は特別なもの、と感じる方も少なくありません。大西さんは、着物について次のように語ってくれました。

 「和装は動きづらいというイメージがありますが、慣れればそんなことはありません!厳格なルールが決まっているように思われますが、正式な場所でない限り、自由に楽しんでいただけると思うので、ぜひ一度レンタル着物から始めてみてください!」

 着物は洗濯機でザブザブ洗えるものや、昭和期の銘仙に代表されるようなモダンな柄もあり、基本的な着付け方さえ覚えてしまえば洋装と同じように楽しめます。着始めてみると、想像できなかった着物の特色に気づくかもしれませんね。

<記事化協力>
大西里枝さん(@RieOhnishi)

(咲村珠樹)