トゥシューズを履いている皆さん、月に何足ほどトゥシューズを履きつぶしますか?

 バレエ歴21年、週4回のレッスンに通っている筆者は、一番トゥシューズを履きつぶす舞台前で月に3~4足ほど。筆者が使っているトゥシューズは、1足あたり約6500円ですので、計算すると1か月あたり最大で2万6000円のトゥシューズ代を支払っているということに……。(舞台の1~2か月前だけです)

 練習量が増えれば増えるほど、トゥシューズ代がどんどん膨れ上がります。バレエを愛する皆さん、バレエ女子の保護者の方は共感していただけるのではないでしょうか?

 少しでもトゥシューズ代を節約するために試して欲しいのが「トゥシューズを長持ちさせる工夫」。筆者が日頃から試している方法を3つご紹介します。

※トゥシューズの表記について:「toeshoes」をカタカナ表記する場合「トーシューズ」が正しいとされていますが、本稿では日本にあるバレエ用品店やバレエの専門書籍等が主に使用している「トウシューズ」「トゥシューズ」の2つのうち、「トゥシューズ」を優先して使用しています。

■ トゥシューズを長持ちさせる工夫(1)使用後は乾かす

 トゥシューズにとって、湿気は大敵。長持ちさせるうえで最も大切なのが、使用後に乾かすということです。

 レッスンでトゥシューズを履いた後、そのままトゥシューズをシューズ袋に入れておくと、湿気がこもって早く潰れてしまいます。

 筆者はレッスンから帰宅すると、まずトゥシューズを干します。左右のトゥシューズの紐を結び、直射日光が当たらない場所につるすようにして干すのです。

 このときの個人的なポイントは、トゥシューズを干している場所の下、もしくは近くにシューズ袋を一緒に置いておくこと

 トゥシューズ1足くらいなら入れ忘れていても気付きませんが、レッスンバッグの中にシューズ袋がないとさすがに気が付きますよね。

 筆者は「トゥシューズを干すときは必ずシューズ袋を近くに置いておく」を実践することで、トゥシューズの入れ忘れを防止しています。

 余裕があれば、丸めた新聞紙や靴用の除湿剤をトゥシューズに入れて干すのもよいでしょう。今までトゥシューズを干したことがない人は、ぜひ試してみてください。トゥシューズの持ちが格段によくなるはずです

■ トゥシューズを長持ちさせる工夫(2)ニスを入れる

 トゥシューズを長持ちさせる方法として、トゥシューズの中にニスを入れるのもおすすめです。

 ニスをトゥシューズの中に入れて乾燥させることで、トゥシューズが固くなり、強度が増します。

 ニスを入れるタイミングは、基本的にはトゥシューズをおろす前です。もしくは、何度か履いてトゥシューズが柔らかくなってきたと感じたときでもOK。このタイミングでニスを入れると、トゥシューズが潰れるのが少しだけ遅くなります。

 ニスはホームセンターでも購入できますが、やはりトゥシューズに入れるのに適しているのは、バレエ用品店で売っているニスです。

バレエ用品店で購入したニス。

 1滴ずつたらすように入れられるので、調整しながらニスを流し込むことができます。

 ちなみに、バレエ用品店大手のチャコットによると、ニスは刷毛を使って塗るのがおすすめのやり方とのこと。

 筆者は、プラットフォーム(トゥシューズで立ったときに床と接する面のこと)の強度を上げたいため、ニスをトゥシューズに直接流し込むように使っていますが、ニスを初めて使う方は刷毛を使って少しずつ塗っていってくださいね。

 なお、筆者がInstagramで「トゥシューズを長持ちさせる工夫」を募集したところ、ニスの代わりに瞬間接着剤を入れるという方もいらっしゃいました。

■ トゥシューズを長持ちさせる工夫(3)複数のトゥシューズを使い分ける

 複数のトゥシューズを使い分けることで、1足1足を長持ちさせることができます。この方法は、常に2~3足のトゥシューズをレッスンに持って行っているという上級者向けのテクニックです。

複数のトゥシューズを使い分ける

 レッスンが続く場合、1足のトゥシューズばかりを使っていると、どうしても乾燥させる時間が十分にとれず、トゥシューズが早く潰れてしまいます。2~3足のトゥシューズを使い回せば、トゥシューズを乾燥させる時間をしっかり取れるため、トゥシューズの持ちが良くなるというわけです。

 複数のトゥシューズを使い分けることで、踊りや身体の状態に合わせた固さを選べるといった二次的なメリットも生まれます。

 筆者の場合、レッスンが多くなる舞台前のみ、複数のトゥシューズを使い分けるようにしています。

 そして、トゥシューズの裏に「いつおろしたか」が分かるように「7(1)」といった記号を書いています。

トゥシューズの裏には「いつおろしたか」を区別する記号を書く

 「7(1)」とは「7月1足目のトゥシューズ」という意味です。(R・Lは右・左です)おろした日が早ければ早いほどトゥシューズが柔らかくなっているので、トゥシューズの柔らかさが分かるように書いています。

 ちなみに、トゥシューズの使い分けは、そのときの気分もありますが、ジャンプが多い作品は柔らかめのもの、立ったままの動きが多い作品やパ・ド・ドゥ(男女2人で組んで踊る踊りのこと)の場合は固めのもの、というように使い分けています。

■ 工夫してトゥシューズを長持ちさせよう

 トゥシューズを長持ちさせる工夫を3つ紹介しました。3つも試す余裕がない!という方は、ぜひ1つ目にご紹介した「トゥシューズを乾燥させる」方法だけでも実践してみてください。

 きっと、トゥシューズの持ちが変わってくるはずです。(トゥシューズ代も……!)

<参考>
チャコット「大切なトゥシューズを梅雨のジメジメから守る!

(上村舞)