「こんな子達も作ってます。ガラス作品ね」というつぶやきとともに、Twitterに投稿されたのは爬虫類と昆虫を写した写真。

 どうやらレオパとメスのクワガタのようですが、光沢感と立体感があわさったそれは今にも動き出しそうです。

 しかしこれは、つぶやきの通りのガラス細工。投稿者であるつのださんこと、角田恵子さんが作り上げたものです。

 ガラス作家として活動する角田さんは、「見ているとユーモアを感じさせる作品」をコンセプトとしたガラス細工作りをされている人物。元々は陶芸をやっている中で、「あまり向いてなくて(笑)」と2009年よりガラスへ転向。そこから、ほぼ独学で技術を習得したそうです。

 今回投稿したレオパとクワガタは、2022年8月19日から8月28日にかけ、三重県伊賀市にある「武家屋敷 赤井家住宅」にて開催される自身の展示会、「夏の硝子」にあわせて制作したもの。

 カエルとともに「好きな生物」に挙げ、これまでにも様々な作品にしてきた「レオパ」に関しては、それぞれ異なったカラーバリエーションとポージングを施しています。

 これは、「見る人を楽しませる」という自身のポリシーに加えて、「多少変形しても、それ(レオパ)と判別できるのはありがたいですね」という生物の持つ特徴を生かしています。なお、これはカエルに対しても同様のことが言えるんだそうです。

レオパとカエルは以前より好んでいた生物。

 一方、展示会開催時期の「夏」を意識して制作されたのが「クワガタ」。メスのミヤマクワガタをモチーフにしたとのことですが、角田さん曰く「まだ試作段階です」とのこと。とはいえ、メス独特の角の形状や、足元の再現性の高さは既に「試作」を凌駕しています。先だっての“完成報告”投稿では、3万を超えるいいねが寄せられる大反響になっています。

Twitterで3万を超えるいいねが寄せられた「クワガタ」。

 他にも「タコ」「ウミウシ」を出展予定という角田さん。選定理由としては、先述の通り「夏」を意識していますが、同時に、「作ってみたい!」という「本音」にも向き合った結果。自身のフィーリングが、作家活動に大きな影響を与えています。

8月に開催される展示会に合わせての作品作り。

■ 母子揃ってでガラス作家として活躍中!

 ちなみに、今度開催される展示会「夏の硝子」は、つのだゆきさん(以下、ゆきさん)との共同開催。ゆきさんもまたガラス作家として活動しており、編集部でも以前記事で紹介していますが、実は角田さんとは親子関係なのです。

「夏の硝子」は娘との合同開催。

 親子揃ってSNSで話題のガラス作家なためか、互いの動向は、弊社記事も含め「あっ、紹介されてる!」と“デジタル世界”で知ることが多いといいます。

 その中で、「夏の硝子」に関しては、元々はゆきさんの個展として開催していたところに、角田さんが乗っかるという形になったそうです。

 似た者同士の両者ですが、作品に関しては大きく異なります。

 母・角田さんの作品が、それぞれに表情をもたせた、コミカルでユーモアな風貌なものに対し、娘・ゆきさんの作品は元来の昆虫嫌いに、「気持ち悪いものを作りたい」という意思を反映した生物のリアルを感じさせるもの。

 まさに対極ともいえる作風ですが、「でもそれがガラスのいいところなんですよね」と角田さん。今年(2022年)もまた三重・伊賀の地で夢の競演を果たします。

<記事化協力>
角田恵子さん(Twitter:@1108kei/Instagram:@atelier_tsunoda)

(向山純平)