宝石や鉱物を精巧に模した石鹸アート「宝石石鹸」を普段発表しているマルベリーさんが、ちょっと趣向の異なる作品をTwitterに投稿しました。一見アンティークのガラス瓶に見えますが……やっぱりこれも、石鹸なんです。

 マルベリーさんが「ガラス瓶はお好き?」という言葉とともにツイートした、ローマングラス調の石鹸。普段作っている「宝石石鹸」とはまったく違った雰囲気の作品です。

グリーンの瓶(paper.mulberryさん提供)

 鉱物標本を模した石鹸作品を見慣れている側からすると、ちょっと驚くような作風の変化ですが、マルベリーさんは「『実はこんな表現もできる』ということを伝えたくて制作してみました」と語ります。

 石鹸アートにはいくつかの石鹸素材がありますが、マルベリーさんが主に使っているのはMP(グリセリン)ソープと、アミノ酸ソープの2種類。どちらも着色前は透明な素材だそうですが、今回はここ最近の制作で使用していたアミノ酸ソープではなく、MPソープを使用したといいます。

 MPソープは「Melt(とかす)」と「Pour(そそぐ)」の頭文字をとった石鹸素材で、文字通り液状に溶かした素材を型に注いで成形することができるのだとか。アミノ酸ソープも型での成形ができますが、MPソープの方が細かいディティールまで再現が可能なんだそう。

 食用色素で好みの色付けをし、液状にしたMPソープを型に流し込みます。透明度はアミノ酸ソープより劣るそうですが、逆に少し不透明感の残る風合いが、アンティークグラスの雰囲気をかもし出していますね。

少し不透明な乳白色がアンティーク感を強める(paper.mulberryさん提供)

 瓶の口が少し歪んでいるのも、成形技術が未熟なアンティーク感を強めてくれます。これは石鹸素材が硬化しきらないタイミングを逃さず型から外しているとのことで、歪み方は決して同じにはなりません。「少しコツが要ります」の言葉通り、程よい歪み方を会得するには経験が必要そうです。

瓶の縁は微妙に歪ませてある(paper.mulberryさん提供)

 表面には、化粧品のポイントメイクに使われるグレードのパールパウダー(マイカ)を使い、オパール加工を施しました。これにより、ガラス表面に金属を薄く蒸着させたような虹色の輝きが生まれています。

 つい何かを入れてしまいそうになりますが、これはガラスではなく石鹸。好みの香りで作ることができ、顔を近づけると良い香りにうっとりしてしまいそうです。

透明感あるブルーの瓶(paper.mulberryさん提供)

 もちろん、水に濡らして泡だて、普通の石鹸のように使うこともできますが、少しもったいない気もしますね。お部屋に置いて、その香りと形を楽しんだ方がよさそうです。

<記事化協力>
paper.mulberryさん(@papermulberry1)

(咲村珠樹)