高級食材として知られる伊勢海老を、ダンボールを用いて再現してみせたのはツイッターユーザーの「しょうたダンボール」さん。

 驚くべきは何と言ってもその「リアルさ」。硬い殻で覆われ、ごつごつとしている外見はもちろんのこと、腹肢や歩脚など、全身152か所が可動し、徹底的に再現度にこだわって制作されています。

 6年前に初めて作品を作って以来、ダンボールアーティストとして、数多くの作品を生み出してきたしょうたダンボールさん。こうした生き物をモチーフにした作品の他、ダンボールを使用した衣装を着用して、仲間とパフォーマンスを行うなど、活動内容は多岐にわたります。

 そんなしょうたダンボールさんが、伊勢海老を作るのは、実は今作が3回目。「伊勢海老が僕にとって一番カッコいい生き物だからです」と豪語するほど伊勢海老を愛しており、自身の制作技術の向上と共に、伊勢海老制作にチャレンジしてきたという、まさに活動の写し鏡のような存在でもあるようです。

外見は完全に伊勢海老

 普段の作品は実物を見て作ったり、写真だけで作ったりとさまざまですが、伊勢海老は本物を食べた後に、標本にして観察しながら作った、という力の入れよう。伊勢海老にかける本気度がうかがえます。

また、作品をよく見てみると、体の部位によって色の異なるダンボールを使い分けている事にも気付きます。薄い色や濃い色、6種類の色の異なるダンボールを使用することにより、殻の表面感や質感、全身の立体感が表現されています。中でも尾扇には、裏表合わせて500ものパーツを貼り合わせているのだとか。もちろん尾肢も一枚一枚可動します。

全身には色の異なる6色のダンボールを使用しています

 こうした細部へのこだわりが随所にみられる本作の中でも、特にこだわったポイントは「口元にあるアゴとアゴ脚の部分」とのこと。それぞれが6本ずつあり、関節の数は全部合わせて38か所にのぼります。ほとんど目立たない箇所ですが、時間を掛けて一本一本丁寧に作り込まれています。

見るだけでも作業の大変さが分かります

殻は取り外しが可能というギミックも

 およそ1か月の期間を経て完成した作品は、しょうたダンボールさんの技術と熱量がこもった会心の出来栄え。自身も完成当初は仕上がりに満足していたそうですが、数日経つと徐々に改良点が見え始め、またすぐに次の伊勢海老を作りたくなったのだとか。

 「三代目を超えるには今は力不足の為、もう少し技とギミックがまとまったら作ろうと思います!」と4回目となるチャレンジへの意気込みを語ってくれました。次作はいったいどれほどのクオリティになるのか……もはや想像することすら困難な領域です。

<記事化協力>
しょうたダンボールさん(@6VpkrnaasTK0Yas)

(山口弘剛)