刺繍と言えば、針と糸を用いて布に縫うのが一般的ですが、実は金属製のザルにも縫えてしまうんです。

 ザルの丸みを利用し、刺繍の技法であるクロスステッチによって描かれたのは、ポケモンに登場するキャラクター「ポッチャマ」。愛らしいポッチャマの顔が、立体的に美しく再現されています。

 作品を制作したのは、刺繍を趣味としている「しゅげぇとんたん」さん。過去にはハエたたきに刺繍をしたり、刺繍で立体的なキーホルダーを作ったりと、型に捉われないユニークな作品を多く手掛けています。

しゅげぇとんたんさんの過去作品

 そんなしゅげぇとんたんさんが、今回生地としてザルを選んだのは、「普段刺繍しない人にも興味を持って欲しい」という思いがきっかけ。

 自分が心を込めて作った作品を、せっかくなら多くの人に見てもらいたいと考えるのは、モノ作りをする人であれば当然のことです。より注目を集めそうな、ナナメ上の方向を目指して普通の人が縫わないものを探してたどり着いたのが、ザルでした。

製作開始前の写真

 生地が決まったところで、次は何をモチーフにするか。初めはザルの丸さを活かして地球を縫うつもりだったそうですが、老若男女幅広い世代に人気のポケモンから、顔の丸みが特徴のポッチャマをモチーフにすることにしました。

 しかしながら、ザルに刺繍をしていくという作業は、想像以上に生地が硬くハードだったと言います。また、ザルにも個体差があり、網の部分の針金が丸い枠に対して垂直に張られていなかったこともあり、ポッチャマの顔がやや曲がってしまったという反省点も。なかなか思い通りに作業が進まなかったようです。

生地にポッチャマの顔が徐々に出来がっていきます

 それでも、裏面までキレイに縫うなど、細部の美しさへのこだわりも忘れていません。しゅげぇとんたんさんが目指したのは、まるで機械で縫ったかのような、規則性や統一感。作業の難しさや苦労を感じさせない、縫い目の細やかさとポッチャマのかわいらしさが際立つ作品に仕上がっています。

裏面まで美しく縫われています

傾けてももちろん違和感はありません

 制作期間、約4か月にわたる作品を完成させた際は「やっと終わったー!」という達成感と共に「次のが縫えるぞー!」という、次作への意欲も同時に湧いていたとのこと。作品を制作している途中でも、次々と新しいアイデアを思い付いたようです。

 また、ツイッターで完成を報告すると、投稿には多くの祝福コメントがよせられました。

「完成おめでとうのコメントをたくさんいただいたことで、うれしさが込み上げてきました。半分でやめないで、最後まで縫いきって良かったと思っています」と語るしゅげぇとんたんさん。

 当初の狙いであった「普段刺繍しない人にも興味を持って欲しい」という点についても、ツイッターでの反響をうけて、その結果に満足しているようすでした。

完成した作品は過去作と共に飾られています

 完成した作品は、過去に制作した作品と共に、自宅に飾っているとのこと。次はどのようなユニークな作品を作るのか、今後の活動にも注目です。

<記事化協力>
しゅげぇとんたん(@sgtntn716)

(山口弘剛)