自分の世代では当然とされていることが、下の世代には通じないことを指す言葉である「ジェネレーションギャップ」。自分は若者文化に通じているから……と、自信をお持ちのそこのアナタ。そんな人こそ、注意が必要かもしれませんよ。

 特に、デジタル文化においては十年ひと昔。30~40代の方にとってはお馴染みである「アレ」が、今の20代にはもう通用しないかもしれません。

会社の老人が新社会人に
「このデータ、フロッピーしといて」
なんて指示を出した。
頭を傾げる新人君。
フロッピーディスクなんて言葉、新社会人が分かる訳ねぇだろ。これが世代間の壁ってやつか。
俺はやれやれと思いながらも新人君に伝える。
「CDに焼いといてって事だよ」
「CDに……焼く……?」

 ツイッターにて、このようにつぶやいたのは良月一成さん(@1sei_44moon)。良月さんは小説家を志望しており、長編小説を執筆しながら、ツイッターには「140字小説」という、物語を投稿しています。

 今回の投稿も、良月さんが創作したフィクションでありながらも、そのリアリティあふれるやり取りに11万件を超える「いいね」が付くなど、大きな反響が寄せられています。

 「自分は新しい世代の側だと思ってたら違って、そこにも壁があった」という内容から、「壁は2枚あった」というタイトルが付けられた今回の投稿は、良月さん自身の経験が元になっています。

 最近「CDに焼く」という言葉を聞く機会があり、自身としては慣れ親しんだ言葉ではあるものの、冷静に考えると「よく考えたら焼くって何だよ」と不思議に感じたという良月さん。

 また「CDに焼く」という言葉自体を久しく聞いていなかったので、「今の若い世代は焼くなんて言葉知らないんじゃないか?」とふと思い、物語に仕立ててみたのだそう。

 ちなみに「焼く」という表現が使われるようになった理由は、データを書き込む際にレーザーを表面に照射すること等からと言われています。

 それにしても、記録媒体としてフロッピーディスクが古い言葉だというのは認識していますが、まさかCD-Rも通じなくなってきているとは。

 言われてみれば、1990年代から2000年代ごろに主に用いられており、以降はUSBメモリ、オンラインストレージに移り変わっていきます。20代前半の新社会人からしてみれば聞き慣れない言葉であるというのは、フィクションとはいえあながち大げさとも言えなさそう。

 加えて、最近はノートパソコンはおろか、デスクトップパソコンにも光学ドライブが搭載されていないことも。こうした背景から、ディスクタイプの媒体は徐々に認知度が低くなっていくことは、時代の流れからも必然なのかもしれません。

 時代と共にどんどん移り変わる記録媒体。伝わると思っていた言葉が伝わらないというジェネレーションギャップは、30~40代にとっては、常に気に掛けておく必要がありそうです。

<記事化協力>
良月一成 今日の物語ちゃんねるさん(@1sei_44moon)

<参考>
JIIMA・用語集・CD-R/RW「CDを「焼く」とは

(山口弘剛)