普段の暮らしでは気づかないものの、あるきっかけで土地柄を知ることがあります。やけにお寺が多い、特定のコンビニばかり見かける……などなど。職業の偏りなどもその一種といっていいでしょう。

 農作業の手伝いで集まった近所の人々。休憩時間に話してみると、意外にも元自衛官や自衛官の家族ばかりだったのです。これって多すぎ?

 なぜか自衛隊関係者ばかりが集まった農作業の現場を漫画にし、Twitterに投稿したのは「農家見習い漫画家」のうぐいす歌子さん。ご本人は元海上自衛官(水上艦勤務)で、現在は米農家のかたわらブログで自衛官時代を題材にした漫画「りとるねいびぃぺんぎん」を発表しています。

 この日は別の農家さんのところで、ジャガイモ収穫のお手伝い。10人ほどが集まり、機械で掘り起こしたウネからジャガイモをピックアップし、カゴに入れていきます。

 作業が一段落しての休憩中、世間話で「あんた自衛隊さんだったんか?」と水を向けられたうぐいす歌子さん。「そうです。海(上自衛隊)でした」と答えると、周りの人からも次々と自衛官が身内にいたり、本人が元職だったりとの話に発展したのでした。

うぐいす歌子さんの漫画(うぐいす歌子さん提供)

 ご自身が元陸上自衛隊や元海上自衛隊という方もいれば、お子さんが海上自衛隊で練習艦勤務、同じく海上自衛隊で鹿児島県の鹿屋航空基地勤務という方。そして娘さんの夫が陸上自衛官という方も同席していました。

 ここまで自衛隊率が高い土地ってあるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご近所やお身内の方が現役の自衛官だったり、元自衛官だったりすると、普段から自衛隊に親しんで自然と自衛官を志望するのはありがちなこと。その点はほかの職業と変わらず、身近な職業として選択肢に入っているだけにすぎません。

 うぐいす歌子さんの場合をうかがうと「大学受験に失敗し、浪人が許される環境ではなかったので就職活動していたところ、縁あって地本(一般社会と自衛隊とを橋渡しする地方協力本部)の方と知り合い、気づけば試験を受けて入隊していました」と、初めから積極的に志望して……というわけではなかったとのこと。

 しかし「身近に自衛官は多かったですね。近所の同級生も何人か陸自に行きました」とのことで、やはり比較的自衛隊との縁が深い土地柄のようです。「それにしても、今回のように次々出てくるとは思っておりませんでした」と驚きも語っています。

 というのも、自衛隊を退官後しばらくは都会にいたそうで、その時は逆に珍しがられたんだとか。「都会では『自衛隊!?すごい!何してたの!?』と、ちょっとしたヒーロー扱いされることもあったのですが、田舎では『へ~そうなんだー』くらいの温度差がある気がします」とのこと。

 普段は「自衛隊にトラウマあるタイプの元自(衛官)さんだったらどうしよう」と気を遣って自衛隊関連の話題を口にしないそうで、今回のことは「本当にたまたまでした」と話すうぐいす歌子さん。その後も特に自衛隊話で盛り上がることもなく「自衛官が珍しくないので、今さら聞きたいこともないのでしょうね」と苦笑していました。

 筆者も多くの自衛隊関係者と付き合いがありますが、意外と「身近に自衛官がいたから」自分も自衛官になったという方は少なくありません。知っている人がいるだけに、職業のことをよく理解して進みやすいのかもしれませんね。

うぐいす歌子さんの漫画「りとるねいびぃぺんぎん」(うぐいす歌子さん提供)

 うぐいす歌子さんがブログに発表している漫画「りとるねいびぃぺんぎん」は、そんな自衛隊生活を知る上でも面白く読める作品となっています。入隊した際にお世話になる教育隊での話や、部隊勤務のエピソードは、自衛隊を理解する良い助けになるかもしれません。

<記事化協力>
うぐいす歌子さん(@frgunsou)

(咲村珠樹)