おたくま経済新聞

　漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第5部の主人公である「ジョルノ・ジョバァーナ」をクッキーで再現した、ファンアート作品。このクッキー……もちろん「ただのクッキー」じゃあないッ！

　飛び出して見えるクッキーの正体は、全体のパーツを重ねて作られた「立体アイシングクッキー」。宙を舞う美しい花びらが、まさにジョルノのイメージと重なり、その「スゴ味がある」出来栄えは、もはや芸術作品と言っても過言ではありません。

　作品を制作したのは、立体クッキー作家の、いずむさん（@kiri0izm）。実は過去にも「ブチャラティ」や「ナランチャ」といったジョジョ5部のキャラクターをモチーフにした作品を制作しており、ジョルノに関しても同様。そんな中、再度ジョルノをモチーフにしたのは、「希望」をテーマにした作品を作るため。

　暗いニュースが続く昨今において、作品を見た人が少しでも明るく、前向きな気持ちになってもらいたいという思い。それはまさしく、作中で「触れた物体に生命力を注ぎ、生物を生み出す」というジョルノのスタンド能力「ゴールド・エクスペリエンス」のイメージと重なります。

　クッキー生地にシュガーペーストを重ね、パレットナイフで凹凸を付けつつ、ブラックココアのアイシングでメインの線を引き、衣装の模様や、色の濃淡は食品用筆で描いていく、という作業はもはやお菓子作りというより、彫刻や絵画を仕上げていくような工程。見れば見るほど、妥協のない作品づくりに驚かされます。

　中でも、いずむさんが特にこだわったと語るのは宙を舞う花びらの動き。ジョルノの手からあふれ出しているような花びらは、どこか儚げでありながらも、春風が吹き抜けるような爽やかさを兼ね備えており、まさに「希望」という作品のテーマにピッタリ。もちろん50枚近くの花びらもすべて手作りで、全体のバランスを見ながら、1枚1枚配置にもこだわっています。

　また、ジョルノの衣装は明るいピンク地に、ハートの模様が描かれているものを採用。これはかつてプレイステーション3で発売されたゲームソフト「ジョジョの奇妙な冒険　オールスターバトル」においてのみ実装されているオリジナルカラーの衣装で、原作には未登場のもの。

　ゲームをやり込んでいたいずむさんにとって、特に強い思い入れがあったことから、今回のモチーフはこれにしよう！と作る前から決めていたとのことです。

　いずむさんの手によって生み出された作品は、どの角度から見てもデザインに破綻のない、まさに「ディ・モールト（非常に）良しッ！」と言いたくなる出来栄え。

　作品を紹介したツイッターへの投稿には1万件を超える「いいね」が付き、多くの方が絶賛の声を寄せています。ちなみに今回の作品のメイキング動画はYouTubeにて公開されており、一から作り上げられていく様子はジョジョファンのみならず、見ごたえたっぷりの映像となっています。

　インタビューの最後に、「自分が今持ってる力量の範囲内のものしか作れないので、作品を作るごとに、新しく出来るようになったことを1つでも増やして、さらに良いものが作れるように頑張ります」と、今後の意気込みを語ったいずむさん。次の作品にも、つい期待が高まってしまいますね。

#giornogiovanna
ジョルノの立体クッキー作りました💐 pic.twitter.com/rXUC5Mp5ep

— いずむ (@kiri0izm) April 21, 2022

＜記事化協力＞
いずむさん（@kiri0izm）

（山口弘剛）