「木彫りでちょっと驚くようなものを作っています」を活動のコンセプトに、「氷」や「たい焼き」といった身近にあるものを、木材を使用して本物そっくりに再現している、キボリノコンノさん(@kibori_no_konno)が新たな作品をツイッターで発表しました。

 今回の作品は「生卵」。木の板の上に表現された生卵は、白身の質感や光の反射具合が本物そっくり。拡大して見ても、木彫りとは思えないリアルな作品となっています。

 新作「生卵」は、過去の作品にも見られるような「透明感の表現」の更なる追究がきっかけ。

 「どうすればもっと、木を透明に見せられるのかがまだ研究段階で、新たな透明作品にチャレンジしたい」という強い探求心から制作されました。

 過去には「ヒノキ」や「シナノキ」といった木材で作品作りを行ってきたキボリノコンノさんが、今回の作品に選んだ素材は「ウォールナット」という木材。やや硬めの木材で、木肌が美しいことが特徴。高級家具や工芸品に使用されている素材です。

作品は1枚の板を削って制作されています

 1枚の木の板から形を彫り出し、やすりがけ、着色という工程の中で、特に工夫した点として挙げたのは、「白身の中に黄身が浮いて見えるように、立体感をつけて着色した」こと。

丁寧にやすりがけし、質感の土台作り

 濃いオレンジ色をした黄身の陰影が、細い筆で丁寧に着色されている様子はまるで絵画のよう。白身の透明感や、ドロッとした質感までもが見事に再現されており、木目の表情との対比が、実に美しい作品に仕上がりました。

絵画のように陰影をつけ、丁寧に着色しています

 「今回はかなり気合いを入れて作り、自分が想像してた以上の出来に仕上がりました」

 作品を作り終えた感想を、このように話したキボリノコンノさん。特に白身の質感の完成度には自身でも驚いたそうで、「透明感の表現」をテーマに臨んだ作品は、渾身の出来栄えとなった模様。

 透明でないものを透明に見せる、という表現方法。今後、どのような進化が見られるのか、次の作品が今から楽しみになってしまいますね。

<記事化協力>
キボリノコンノさん(@kibori_no_konno)

(山口弘剛)