こんにちは、深水英一郎です。

 「産業の塩」とも言われる「ねじ」。いろんなところで目にしますが、緩んで欲しいときには緩み、締まって欲しいときに締まる、という実は難しいことを実現しているパーツです。

 今回の「著者著書紹介」は、そんな「ねじ」に特化した本を紹介します。さまざまな人がものづくりをするようになってきた昨今ですが、「ねじ」の知識を学校で学んだことがない、という人が多い。そういった方のために書かれたのがこの「メイカーのための ねじのキホン」だそうです。

 それではさっそく著者さんにお話をきいてみましょう。

【著者 門田和雄さんプロフィール】
機械技術教育の実践と研究を活動の柱として、機械やロボットに関するさまざまな研究活動に取り組んでいる研究者メイカー。ねじや3Dプリンタなどの著書も多数執筆する。ファブラボ関内のファウンダーでもある。
https://kadota1.wixsite.com/robotakun/

▼今回紹介する本▼
「メイカーのための ねじのキホン」技術評論社、2022年2月5日発売

——本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ、今、ねじなのでしょう?

【門田さん】
 これまでにも、ねじの入門書を数冊執筆していますが、これらは機械工学の入門書という位置づけでした。今回はメイカーの方々向けというコンセプトを明確にしてみました。このことにより、これまでよりも幅広い方々に読んでもらえるのではないかと考えています。

——なるほど、これまでよりもっと一般向けの、ものづくりをする人たちに向けた本、ということなんですね。

【門田さん】
 近年、自分自身でイノベーティブなものづくりに取り組むメイカー(Maker)が日本でも増加しており、その活動の場であるデジタルものづくりの市民工房であるファブラボが広がりを見せています。また、その成果発表の場であるMakerFaireなども多くの出展者及び来場者がおり、広がっています。

 3Dプリンタやレーザー加工機などのデジタル工作機械を活用したデジタルファブリケーションが広まるなかで、何か動くものを作ろうとするときには、その動くメカニズムを知っておく必要があります。また動く部品を固定するための方法も知らないといけません。

 このようなとき、必然的にねじや歯車などの機械要素が用いられます。本来ならばこれらの知識や技術は工業高校や大学工学部で学ぶのですが、今やMakerはこれらの学校に通った方々以外にも広がっています。

 そんな方々がそれらの基礎知識を身に付けるための1冊として執筆したのが本書です。

——他の本にはない、本書ならではの読みどころはあるでしょうか?

【門田さん】
 第4章「ねじを作る」では、実際に町工場で行われている、ねじの作り方を紹介しました。身のまわりを見渡せば、必ず見つかるねじがどのように作られているのかを多くの人は知りません。メイカーの皆様には、ねじを作るところからはじめないとしても、ぜひ知っておいてほしいです。また、最近は3Dプリンタでねじを出力する人も増えています。その参考になることも書いています。

 第5章「メイカーのためのねじの未来」では、ねじを本来の工業的な使い方でなく、指輪やペンダントなどのアクセサリーやキャンドルなどを製作しているメイカーの方々を紹介したり、私が開発したねじの教材なども紹介しています。

——次の本の構想はすでにあるんでしょうか?

【門田さん】
 この本の売れ行きがよければ、メイカーのための〇〇として、シリーズ化してみたいと考えています。〇〇には歯車や3Dプリンタなど、いくつかのキーワードを妄想中です。

 また、最近、自家焙煎機の開発をしており、なかなかよいものが作れたので、この関連の本も執筆してみたいですね。もちろん、ここにもたくさんのねじが使われています。

——面白い!「歯車のキホン」などなど、シリーズとして続いていくとよいですね、本日はありがとうございました!

(インタビュー了)

インタビューききて・深水英一郎 プロフィール https://nitsuite.jp/fukamie
メルマガプラットフォーム「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。未来検索ブラジル社元代表を務めニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」やMCN「ガジェクリ」立ち上げ。シュークリームが大好き。