日本テレビ系の「金曜ロードショー」で、2022年最初の放送作品となった「千と千尋の神隠し」。放送中、ジブリ公式Twitterでは、事前に寄せられた作品についての質問に対する回答がツイートされていました。

 その中には、ファンの間で長年語られてきた「作品には幻のその後の物語があり、限られた劇場で公開された」という噂についての回答も。結論から言えば「都市伝説」とのことで、公式に存在が否定されました。

 2021年12月27日、日本テレビ「金曜ロードショー」公式Twitterアカウントでは、次回2022年1月7日放送の「千と千尋の神隠し」に関する質問を受け付け、当日の放送時間にスタジオジブリ公式Twitterから回答がツイートされる、という企画を実施しました。

 そして迎えた放送当日。数多く寄せられた質問の中で、最初に選ばれた質問は「『千と千尋の神隠し』には幻のその後の物語があり、一部映画館でのみ上映されたという噂がありますが本当ですか?それともただの都市伝説でしょうか」というもの。

 これに対し、スタジオジブリは「都市伝説です」とキッパリ存在を否定。宮崎駿監督の言葉として「最初は千尋の家から始める予定だったんだよ。千尋の部屋が妖怪の通り道になっていて、お母さんと一緒に湯屋へいくって話。でもまどろっこしいからやめたんだよね。なのでそういう噂が流れているんだったら、面白いね!」と紹介しました。

最初の質問と回答(スクリーンショット)

 千尋の部屋から湯屋へ行く、というこの初期構想は、まるでC.S.ルイスの「ナルニア国物語」や、新井素子さんの「扉を開けて」のような物語の導入部になっていた可能性を示唆しています。これはこれで面白そうですが、確かにここから描くと本題に入るまでが長くなり、限られた時間で見せる映画ではテンポが悪くなっていたかもしれません。

 なぜ「幻のその後の物語(ネットでは「幻のエンディング」とも呼ばれています)」の噂ができたかは定かではありませんが、ネットで調べてみると少なくとも12年前にはあったようです。Yahoo!知恵袋には2010年時点で質問が投稿されています。さらに興味深いのが、ストーリーにばらつきはあるものの一人ではなく複数の方が目撃談をあげていること。

 このためまことしやかに長年ささやかれることとなりましたが、公式が今回キッパリ否定したことにより、この噂にはようやく決着がつくこととなりました。

 なお、このほかにも、キャラクターの由来やアフレコ時のエピソードなど、あまり知られることのなかった話が回答の中で語られました。スタジオジブリ公式Twitterには、一連の質問と回答が残されていますので、一読してから「千と千尋の神隠し」を見ると、また多くの発見があることと思います。

<出典・引用>
スタジオジブリ(@JP_GHIBLI)
あんく@金曜ロードショー公式(@kinro_ntv)

(咲村珠樹)