正月飾りやおせち料理などでもおなじみの高級食材として知られる「伊勢海老(イセエビ)」。甲冑を身に着けたような姿から、勝利を祈る食材でもあり、とても縁起が良い食べ物とされています。

 そんな伊勢海老をモチーフにしたペーパークラフト作品がツイッターで注目を集めています。リアルな質感の作品でありながら、その大きさは1円玉と並べられるほどの超ミニサイズ。制作技術の高さにただただ驚きです。

 作品の作者は理系大学生の1031(いちまる)さん(@Itimaru1031)。学業の傍ら、紙を使用した工作に8年ほど前から取り組んでおり、過去にも多くの作品を発表しています。

本来はイセエビが組み込まれるはずだった「御節の海」

 今回の「イセエビ」は、直前に制作した「御節(おせち)の海」という、おせち料理に使われる魚介類をテーマにしたジオラマ作品に組み込む予定の物だったそう。しかし作品の構想から正月までの期間が短く、納得できる精度で作ると間に合わないと判断したため、それぞれ別の作品として発表することに。「御節の海」は「イセエビ」に先んじて1月2日にツイッターで公開されました。

 「イセエビ」の制作が三が日に間に合わなかったことを悔しく感じたという1031(いちまる)さん。せっかくなら以前の構想よりもさらにリアルに作ろうと決意を固め、改めて制作に臨みました。

作品を上から見たところ

ぱっと見では作りものだと全く分かりません

 使用している紙はタント紙と呼ばれる色紙のほか、文房具店で質感や色が気に入ったはがきなど様々。

 多くの資料を見ながら制作を進める上で特にこだわったと話すのは「イセエビの色」。

 調理したあとの真っ赤な伊勢海老ではなく、海中で生きている伊勢海老の色を再現しようと試行錯誤を繰り返しました。特に胴部の赤黒い部分の色は極薄の色紙と他の紙を貼り合わせ、絶妙な色合いにて再現されています。

 およそ2日間の制作期間を経て、1月6日に公開された作品には「これ紙ってレベルじゃねーぞ」「まさに紙(神)レベル」と、その大きさに対する精度の高さへ驚きの声が多数寄せられています。

 今回の作品に対し、1031(いちまる)さん自身は「現時点で僕が再現できる限界までリアルに作ることはできたと思っているので、出来には満足しています」との気持ちを示しながらも「足先の毛や胴部分の棘など技術力不足で再現できていない部分もあるので、今後さらに技術力が上がったら同じ題材でさらにリアルなものに挑戦したいという気持ちもあります」と再挑戦の意向を語ってくれました。

 もしかすると、2023年の正月にはさらに技術に磨きがかかった完全版の「おせちとイセエビの紙作品」が見られるかもしれませんね。

<記事化協力>
1031(いちまる)さん(@Itimaru1031)

(山口弘剛)