新しい国産哨戒機、川崎P-1の増備により、少しずつ数を減らしている海上自衛隊のP-3C。引退し廃用となった機体は、どのようになるのでしょうか。青森県八戸市に所在する海上自衛隊第2航空群の公式Twitterが、廃用になったP-3Cが解体されるタイムラプス動画を公開。航空機解体の珍しい一部始終が紹介されています。

 青森県の八戸航空基地に所在する、海上自衛隊の第2航空群。津軽海峡を通過するロシア海軍の艦艇など、北の海での警戒活動に従事するほか、冬にはオホーツク海の流氷観測も行っています。

 第2航空群で運用している主力機種はP-3C。しかし長年飛び続けたこともあり、老朽化し耐用年限が来たものは退役しスクラップにされます。

第203教育航空隊時代の5067号機(撮影:咲村珠樹)

 今回公式Twitterでは、退役し廃用となったP-3Cの5067号機が解体されるタイムラプス動画を公開。普段は見ることのできない、飛行機がスクラップにされる一部始終を見せてくれました。

解体前の5067号機

 解体作業が行われるのは、広いグラウンドのような草地。地面の沈み込みと土壌汚染を避けるため下には鉄板とブルーシートを敷き、さらに部品取りなどに使えるプロペラやエンジン、レーダーなどの電子機器は事前に取り除かれています。

右主翼を切断

 まずは画面奥の右主翼を重機を使って解体。機体を支える主脚がある内側のエンジンナセルから先の部分が切り取られ、ぐるりと90度ほど方向転換されます。

尾翼を切断

 さらに垂直尾翼と水平尾翼を切り離し、ほぼ胴体だけの状態に。広がった部分がなくなることで、切り離した部分を細かくする作業スペースが生まれました。

後部胴体を切断

 続いて後部胴体をいくつかのセクションに分割して切り離します。輪切りにされた胴体は、さらに細かくされてトレーラーに積み込まれ、搬出されます。いとも簡単に切断される様子から、飛行機の外板が非常に薄いことも分かりますね。

機首を切断

 ついに機首部分も切り離され、残るは中央胴体のみ。もはや飛行機の原形はとどめず、完全にスクラップといった雰囲気になってきました。

残るは中央胴体のみ
細かく裁断される

 動画は「長い間お疲れさまでした」のメッセージで締めくくられます。5067号機は1990年に海上自衛隊へ引き渡され、約30年にもわたって第2航空群のほか第203教育航空隊などでも運用されてきました。筆者も現役時代の姿を何度か目にしたことがあります。

動画の締めくくり

 日本の海を守るために飛び続け、退役した5067号機。本当に「お疲れさま、今までありがとう」とねぎらいたいですね。

<出典・引用>
海上自衛隊 第2航空群公式Twitter(@jmsdf_2aw)

(咲村珠樹)